白うさぎ

@soundselect1

白うさぎ

SE:キーンコーンカーンコーン

素直:えーがおっ、帰ろ

笑顔:うん、帰ろう帰ろう

素直:お昼の千尋ちゃん楽しかったね

笑顔:そうだね。しりとりで、すぐ「ん」がついちゃって

素直:また今度皆でやろうよ

笑顔:うん!


SE:足音コツコツコツ、止まる


素直:あ、ちょっと、笑顔待って

笑顔:どうしたの?

素直:あれ、何かな?

笑顔:段ボールみたいだけど

素直:待って、中に白いうさぎがいる!

笑顔:こんな道の端っこにどうして

素直:この子、捨てられたんだよ

笑顔:誰が捨てたのかな…こんなボロボロで

素直:分からない、でもちょっと弱ってるみたい

笑顔:ねぇ素直、この子家に連れていこうよ。こんな所にいたら、かわいそうだよ

素直:笑顔の言う通りだね。うん、連れて帰ろう


SE:ガチャ

素直:笑顔、お母さんには内緒ね。いきなり兎連れて帰ったらびっくりしちゃうから(ヒソヒソ)

笑顔:分かった

母:笑顔ー、素直ー?帰ったの?ただいまくらい言いなさーい!

笑顔、素直:はーい!ただいま!(大声で)

SE:部屋まで慌しく走る音、扉を締める

母:あら?何なのかしら、急いじゃって


素直:震えてる。あったかいタオルで包んであげよう

笑顔:これで大丈夫

素直:この子名前何かな?

笑顔:書いてないね

素直:うーん、じゃあ…フウちゃん!

笑顔:フウちゃん?それって羽みたいにフワフワ浮きそうだから?

素直:さすが笑顔。当たり

笑顔:フウちゃんか、今日から私達の家族だよ。フウちゃん

素直:あ…なんか耳が立ってる

笑顔:あはは、本当だ。きっと嬉しいんだよ

素直:良かったぁ

母:素直、笑顔そろそろご飯よー!(別の部屋から呼びかける)

素直、笑顔:あ、はーい!

――――――ー

SE:キーンコーンカーンコーン

千尋:え?白兎?

笑顔:うん、昨日素直が道で見つけて連れ帰ったの

素直:人参を食べる姿がかわいいんだ

千尋:へえ、可愛いんだろうなあ。ねえ、私も見に行ってもいい?

素直:もちろん!

千尋:ありがとう。じゃあ帰りに寄らせてもらうね

――――――――

SE:扉を開ける音

素直、笑顔:ただいまー!

千尋:お邪魔します

素直:千尋ちゃんこっちこっち

笑顔:いい子に待ってたかな?

SE:部屋の扉を開ける

素直:え?うそ

笑顔:何で!フウちゃんが、いなくなってる!

千尋:素直ちゃん笑顔ちゃん、最後に見たのはいつ?

素直:昨日の夜…、そんな。ちゃんとここにいたはずなのに

笑顔:まさか、外に!?

千尋:とりあえず探してみよう。私は公園の方探すから、二人は住宅街の方探してみて

素直:分かった

笑顔:素直、しっかり。大丈夫、きっと見つかるから

素直:そう、だよね。絶対、絶対見つけようね


――ー―――――

素直:フウちゃーん!

笑顔:フウちゃんどこー!

素直:ハァハァ、ダメだ。どこにもいないよ

笑顔:そんな。まだ昨日の場所が残ってるから行ってみよ

素直:うん

笑顔:フウちゃーん!

素直:フウちゃ…、あ!

笑顔:いた!フウちゃ…もう心配したんだから

フウ:グルルルル(喉を鳴らす)

素直:フウちゃん…?どうしたの?いたっ!

笑顔:素直!大丈夫!?血が

素直:フウちゃん…

フウ:グルルルル

敵:おやおや可哀想にね

素直:誰!?

敵:折角のかわいい兎ちゃんが、こんな凶暴な醜い姿になって

笑顔:貴女がやったの?フウちゃんを元に戻して!

敵:そいつは無理な相談だね

素直:もしかして貴女ブラックラビット!?

笑顔:えっ!?でも、ブラックラビットのボスは滅んだんでしょ

敵:その通り。でもちょっとした計算違いがあったんだよ。

素直:どういうこと?

敵:黒音符の残骸が地球上にまだ残ってるのさ。人間も獣も知らぬうちに口にしてブラックラビット化してしまう

笑顔:まさか、フウちゃんも?

敵:あははは、何言ってんだい。その子は私が変えてやったんだ

素直:何てこと…ひどい

敵:むしろ感謝して欲しいね。その子の寿命はそろそろ尽きる頃だった。私は寿命を伸ばしてやったんだよ。ま、その代わりこんな姿に変わり果ててしまったけど

笑顔:許さない…許さない!

素直:フウちゃんを返して!

敵:痛いじゃないか。ただの子供の人間が!

素直:きゃあ!(地面に転ぶ)

素直:フウちゃん、フウちゃん

敵:クスクス、さあ私はこれから黒音符を生産してもっと凶暴な生物を誕生させてやる

笑顔:何もできない。こんなに、苦しんでるのに

素直:フウちゃんごめん、ごめんね…

モキュ:待つモキュ!

笑顔:え?この声は

モキュ:久しぶりの地球旅行へ来て変な気を感じたと思ったら、やっぱりモキュ

素直、笑顔:モキュちゃん!

敵:なんだいそのちっこい人形は。巷ではこんなのが流行りなのかい?

モキュ:人形じゃないモキュ!さ、二人とも変身モキュ

素直:分かった!行くよ、笑顔

笑顔:うん!

~変身~

素直:あれ、なんか前と違う

笑顔:なんか羽根が生えてるし、うさ耳もある

モキュ:お兄ちゃんの力を借りて改良したモキュ

素直:さすが、相変わらずスケール大きいね

敵:今度はコスプレ大会かい?いい加減にしな

素直:ただのコスプレじゃないもん。ヴェエメンテ!!

敵:あっあちっあち!何するんだいこのガキャ

笑顔:私達のメロディ、今日はちょっと激しいよ。ヴァポルー

敵:霧か?見えない、どこだ!

素直:後ろだよ!シンバル!(バァーン)

敵:耳が!

笑顔:よし、トドメを

フウ:キィィィ!!

SE:バシュッ

素直:フウちゃん!?

敵:フッ、よくやった。

笑顔:霧が晴れた…

敵:私の能力はサイコ・ララバイ。眠っている相手の耳で子守唄を歌うことで操る事が出来る

モキュ:つまり脳の一部を眠らせる子守唄、そのせいで凶暴化したモキュ。

素直:そんな!

敵:さあ、敵は小さな兎ちゃんだよ。どうする?私を攻撃したらこの兎ちゃんまで傷つけちまうよ

素直:出来ない。私には無理だよ

敵:諦めたんだね!フウ、やっちまいな!

フウ:フシュゥ!(牙を向く)

素直:きゃあ!

笑顔:いた…い

敵:はははは!ボロボロじゃないか。所詮はただの子供だねぇ

フウ:フシュゥ

素直:笑顔…

笑顔:え?

素直:フウちゃんの顔

笑顔:あ…泣いてる

敵:さあ、どうしたもっとやれ!

フウ:フシュッ!

笑顔:フウちゃん!

素直:もうやめて、これ以上。フウちゃんを苦しめないで

フウ:フシュッ!フシュゥ!

素直:やめて!!

フウ:ご、めんね

素直:フウちゃん?

フウ:ご、めんね

敵:何だ、どうした?動かないとは、使えないね

素直:笑顔、今フウちゃんの声が心に響いたの

笑顔:え?

素直:フウちゃんはまだ、フウちゃんのままなんだ

笑顔:脳は操られても心は…

敵:もっとリミッターを外すんだ。やれ

フウ:グルルルル

素直:フウちゃん、もう大丈夫だよ。ナンバーセレクト、ノスタルジックブースト!

フウ:ガウ!

笑顔:シールド!

素直:うん、痛くないよ。もう大丈夫だから

敵:ぐうう頭が痛い。そんな事をしたらその兎の寿命は元に戻るぞ、いいのか!?

素直:うるさい。あなたに何が分かるの?一生懸命生きたから、こんなに今があったかい。

敵:くそ、何でこんなに頭が痛いんだ

笑顔:ノスタルジックは懐かしいって意味。だから、自分のした過去が頭に巡ってるんだよ

敵:た、助けてくれ

素直、笑顔:べーだ

素直:終わりだよ

敵:うわあああ


―――――――――――

素直:フウちゃん

フウ:キュゥ

笑顔:良かった、元に戻った

素直:フウちゃん、大丈夫?ほら、あっためあげるから。あれ…眠っちゃった?ねぇフウちゃん(段々と声を震わせて)

笑顔:素直、フウちゃんはもう…

素直:分かってる…。ありがとうフウちゃん。短い間だったけど楽しかった

笑顔:今頃真っ白な羽で雲の上を浮かんでるのかなあ

素直:そう、だね。きっと、そうだよ。フワフワと、雲の上を……



終わり






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