【ウクライナ情勢:考証】なぜロシア軍はキエフに進軍しないのか?
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私は軍事専門家でもなく、国際戦争評論家でもなく、国際政治専門家でもありません。一市民の考証としてお読みください。
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2022年3月11日(金)。今朝のBSニュースでは「ロシア軍の隊列がキエフまで20kmまで迫る」と報道されていた。
そして今夜のNHKnews7。「ロシア軍の隊列がキエフまで15kmまで迫る」と報道された。
江戸川コナンではないが「妙だな……?」としか思えない。時差がいくらかあったとして、例えばキエフは夜中だったとして、ロシア軍の隊列が半日かけてわずか5kmしか進んでいないなんてことがあり得るのだろうか。しかし、それが事実らしいので、今回は起きたことに関する考察、ではなくて想定されうることをあれこれ論証していく、考証というスタイルで考えてみようと思う。非常にタイムリーな話題なので、書いた次の日にはロシア軍は既にキエフを掌握しているかもしれないことはここに記しておく。
では考証を進める。全ては可能性に集約される。
1、ロシア軍とウクライナ軍が拮抗した戦いを続けている可能性
2、ロシア軍がウクライナ市民から猛烈に進軍を阻まれている可能性
3、プーチン大統領の掲げる『特別な軍事作戦』に、進軍する日にち、時間まで正確に記され、それに沿ってロシア軍は行軍しているにすぎない可能性
4、CIAのウィリアム・バーンズ氏が述べたようにロシア軍がただ無能であるだけの可能性
5、ウクライナの土壌に足を取られて進軍できていない可能性
1について考えてみよう。BBCの記事で双方の軍事力が発表されているが、実は現役軍人の数ではウクライナとロシアではあまり変わらない、という数字が出ている。若干ロシア軍のほうが多いくらいだ。ロシア軍の1/3がウクライナ侵攻に充てられている、と報じられているが、BBCの記事がその1/3の数をロシア軍の数と充てていたかは、申し訳ないが記憶が定かではない。ウクライナ軍とロシア軍の間で最も差があるのは退役軍人の差である。ロシアには20万近い退役軍人が控えているが、戦闘に配備されているかはわからない。すなわち、現実的に見ればロシア軍とウクライナ軍が首都防衛線で拮抗した争いを見せている可能性は充分にありうる。
2、ウクライナ市民が盾となっている可能性
ウクライナ市民は二度の革命を経験しているなど愛国心の強い国民が多いことは報道でよく知られていることだろう。武器を持たない市民が盾となってロシア陸軍の動きを封じているという可能性だ。
3、プーチン大統領の『特別な軍事作戦』にロシア軍が進軍日時など全てに則っている可能性
個人的には一番可能性が高いと思っている。制空権はウクライナが確保していて、ロシア軍は空から攻撃できないなどと言われているが、余計な軍事損益を得たくないだけで、陸軍だけでキエフを陥落させる手はずを取っているように思われる。作戦の順序だてとしては、①まずクリミア半島周辺の軍事的掌握──現に南東部の都市マリウポリでは破壊的な軍事活動が行われているが──②ザポロジエ原子力発電所、チェルノブイリ原子力発電所の軍事的掌握──何のための掌握なのか謎の部分が多いのだが──③首都キエフへの侵攻、政権掌握
の順序で作戦を立てていたのではないかという可能性だ。④、⑤と続いていかないかが一番危惧されるところであるが。
4、CIAバーンズ長官の見立て通りロシア軍はただ無能だったという可能性
NATOないしはアメリカの見方はこうだ。
ロシア軍の作戦は、ウクライナに電撃戦を行い数日の間に首都キエフを陥落させNATOとの間に干渉国家を創り出すことだった。
しかし、ロシア軍が無能であったために電撃戦は失敗し、国際的に孤立し、各国から厳しい経済措置を受けることになった。
バーンズ長官の見立てでは「一番動揺しているのは習近平国家主席だ」と。親ロシア派を貫いてきた中国としては電撃戦に失敗したロシア軍に失望しているとともに、どう国際的なバランスを取っていくかに注力しなければいけなくなった、という。3と4の違いのカギとなるのは、ロシアのウクライナ侵攻は『電撃戦』だったか『作戦上の戦い』であるか否かだ。
5、ぬかるんだ土壌に足を取られている可能性
ウクライナには肥沃な土壌チェルノーゼムが広がっている。土壌が肥沃であるが故に、浸水しやすく脆い性質を持っている。冬の雪が混じり進軍しにくいべちゃべちゃした土壌に足を取られている、という可能性だ。可能性としてはとても低い。戦車はどこであろうが進めるだろうというのが、軍事品などてんで素人な私でもわかる。5の可能性は低い。
以上の結論から、簡単に三つに分けられる。要はウクライナ市民・軍人が頑張っているか、ロシア軍の特別な軍事作戦にすぎないのか、ロシア軍が実は無能だったか、そのいずれかだ。戦争は行動が起こらないとわからない。どの可能性が真実だったかは数日のうちにわかるだろう。
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