第436話 違い


怒り狂う吸血鬼と澄ましたヴァンパイアが対峙する感じで並んでいる。


ヴァンパイアはあまり興味がないようで欠伸をしたりしている。


逆に吸血鬼はヴァンパイアと俺にメンチを切っている。


何か吸血鬼のイメージと違うんだよな。

俺のイメージだと吸血鬼はもっと落ち着いた感じなんだけどなぁ。


俺がそんな事を考えているとギロリと吸血鬼に睨まれてしまう。


だから、メガネ血走って怖いんだって。


とにかく吸血鬼を落ち着かせようと話をすすめる。


「ヴァンパイアと吸血鬼って何処が違うのですか?」


俺は本題に切り込む。


「はぁ?

 お前、それ本気で言ってるの?

 これだから素人は‥。」


吸血鬼がポケットに手を突っ込んで唾を吐く。


何かヤンキーみたいになってきた。


「違うだろ?

 ヴァンパイアは全ての生き物から精を吸い取る。

 吸血鬼は血液でしか精を集められない。」


吸血鬼がドヤ顔で語り出した。


「その話だとヴァンパイアの方がスペック良くないですか?」


素朴な疑問を口にする。


「はぁ?

 スペック?

 これだから素人は‥。」


吸血鬼がヤレヤレって呆れた顔になる。


「ヴァンパイアは何でも食べる雑食。

 雑食ってことはゴキブリだろ?

 吸血鬼は生命の源である血を糧にする高貴な存在だよ。

 ゴキブリと一緒にするな!!」


吸血鬼が吠える!


いや、さすがにゴキブリ呼ばりは不味くない?


「誰がゴキブリだぁ?」


ヴァンパイアの低い声が響くのであった。

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