第88話 王城3
王城にある、一室に家族が集まった。
クラウス「シャールが無事で良かった‥。」
王は涙ぐんで喜ぶ。
ルアナ「メイベルのお陰ですね、ありがとう。」
王妃は涙を流して喜ぶ。
メイベル「危ない所でしたが、ギリギリ間に合いました。」
王女は胸を張り、笑顔で答える。
シャール「もうダメかと思いました‥。」
コンスタンティン「あまり心配かけさせないでくれよ。」
シャール「すみません、お兄さま。」
シャールが頭を下げるが、どこか楽しそうにしている。
クラウス「団欒のところ申し訳ないが、先に報告を聞きたいのだが‥。」
王が真面目な表情で、メイベルに話しかける。
メイベル「分かりました。それでは今回の事件について報告します。」
今回の事件の首謀者は宰相のカストと第三王子の母親であった。宰相は第三王子に跡を継がせて、自分が陰で操るつもりであり、母親の方は我が子を王にすることが目標であったのでお互いの利害が一致していた。二人は捕らえられていて、近日中に処刑されることになっている。
第三王子については、本人に罪は無かったが母親が罰せられることから王位は剥奪され、辺境に飛ばさせることになった。
次に第一王女の専属メイドになりすました殺し屋も捕らえられ、拷問により事件の全容を聞き出してから即処刑されている。
聞き出した情報から組織を特定し、関係者を一網打尽にしている。
クラウス「シャールがいなければ、我が国は大変な事になっていただろう‥。」
王の表情が曇る。
コンスタンティン「宰相の策とはいえ、シャールを王城から追放させたこと、大変申し訳なかった。」
王子が深々と頭を下げる。
それに続いて、他の者も頭を下げる。
シャール「頭をお上げください!私は原因不明の病魔に冒されていたので、王城から遠ざけるのは、当然の判断です。私は気にしていません。」
シャールは笑顔で答える。
メイベル「それにしても、アユルやフルワが入れ替わった事に何故気がついたの?」
メイベルに質問され、シャールの表情が凍る。
コンスタンティン「俺も気になる。他にも病気が治った事もだが‥。」
クラウス「ワシも気になるっている。何となくシャールがかわったような気がする。」
ルアナ「あなたもしかして?大人に‥。」
王妃がニヤリと笑う。
シャールは追い込まれていた。さすがに全てを秘密にする訳にはいかないし‥。
全員の目線が何となく怖い。
それに下手に嘘を付くのも‥。
イチロー様、すみません。
シャールは心の中でイチローに謝罪し、正直に全てを話すのであった。
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