第76話 襲来4


 光の柱が消えるまで待ってられない。

このままだと、メアが死んでしまう。

俺はメアのお母さんの近くまで近づく。

するとメアを襲っていた尻尾が俺に向かってくる。

あっ、この攻撃はやばいヤツだ。

避けられそうにない‥。


???「無鉄砲ですね〜。死にたいんですかぁ?」

巫女の衣装の女性に注意される。


ん?巫女さんの妖怪っていたかなぁ‥。

まさかGSのお○ちゃんとか!?

あれは幽霊だったか‥。


すると巫女さんの背後から巨大な蛇が八つ現れた。

あっ、あれなら知ってる。

超有名な『八岐大蛇』だよね。

まぁ、イメージと若干違うけど今はそんな事どうでもいい。

とりあえず動けなくしてもらおう。


蛇がメアのお母さんの身体に巻きつき締め上げる。

しかも身体に噛み付いて離さないようにしている。

あれだけ攻撃しても無傷だった鱗が噛み砕かれてる‥。

八岐大蛇さん、マジハンパないです!

何かそのまま絞め殺しそうなんだけど‥。


さて、こういう時どうすれば落ち着くのかな。

俺の頭の中にはムツゴ○ウさんの顔が目に浮かぶ。

これじゃないなぁ‥。

あっ、『その者青き衣を纏いて金色の野に降り立つ』的な人が言っていた言葉があった。


俺はメアのお母さんの前に立ち、左手の人差し指を差し出す。

身体中を拘束されているが辛うじて口を動かせるようだ。


八岐大蛇さんが、止めようとしたが俺は大丈夫と言って、噛ませることにした。

あっ、良く考えたらサイズ感が全然違うことに気がついた。

メアのお母さんが思いっきり左手の腕に噛み付く。

うん、痛い!けど我慢。


イチロー「痛くない。」

間違った、それは俺への言葉だった。

イチロー「怖くない。」

俺は噛みつかれた状態からお母さんの鼻先を撫でてあげる。

すると怒りがだんだんと収まったのか噛む力が緩んでいく‥。



あの男に撫でられていたことを思い出す‥。

優しく撫でられている。

意識がだんだんと戻ってくる。

私はメアを奴隷した男の腕に噛み付いていた。

血が口の中に溜まっていく‥。

人間だと、早く止血しないと死ぬはず‥。

なのに彼は逃げずに私を撫で続けてくれる。

あー、懐かし感覚だ‥。

心が癒される‥。



やばい腕が完全に固定されていて全然動かない‥。

とにかく落ち着くまで撫で続けるしかないなぁ。

血がドバドバ出てるよ。

あっ、意識が朦朧としてきた‥。



早く治療しないとこの男死ぬぞ。

私は落ち着いたから拘束を解いて欲しいのに。

私は身体をモゾモゾさせた。



八岐大蛇「まだ暴れますか〜。抵抗するならこうです〜。」

八岐大蛇がさらに拘束する力を込める。

するとメアの口元が締めあげられ、口がさらに閉じられる。

そのせいでイチローを噛んでいる口に力が入り、とうとう左腕を噛み切ってしまった。

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