第57話 武器屋


冒険者ギルドに向かう前に武器屋に行くことになった。

実は俺はずっとスーツのままでロクな装備をしてなかったからである。

もしかしたら神様の計いで伝説の防御力を誇るスーツかと期待したが、普通のスーツであった。ゾンからは、ほぼ防御力がないと笑われた。


ちなみにみんなの装備は以下の通りである。

ゾンが、ハーフプレートメイルに大剣。

エルフって軽装に弓じゃないの?

全然イメージと違ってた。


ニーナは、レザーアーマーに短刀。

これはイメージ通り。

でもあれだけ早いんだからやっぱり二刀流が似合うだろうなぁと言うことで、短刀をもう一本購入して、二刀流にしてもらう。

ダメなら予備にまわす。


明日香は、ミニの浴衣。

いやいや、ミニの浴衣って!?

スーツより防御力ないじゃん!!

ほぼ裸じゃん!!

えっ?攻撃当たらないの?

何そのチート‥。

武器は隠してるから見せてくれないの?


で、俺はまず防具を見ることにした。

ちなみに武器屋に防具が置いてあるので防具屋はないらしい。


武器屋のおっさんが頭を抱えている。

いろいろな防具をつけたが、重すぎて動けないのである。

ニーナのレザーアーマーも意外に重いのだ。

悩みに悩んだ末、冒険者の服にレザーアーマーの備品を足した完全オリジナルの防具なった。

ぜ、全然悔しくないよ‥。

初期装備からオリジナルとか前代未聞だもん。


次に難航したのが武器である。

大剣は持ち上がらない。

ロングソードは振れない。

ショートソードぐらいしかダメそう‥。

とりあえず店内を見ることにした。

他の3人は、おっさんに武器をメンテしてもらったりしている。


せっかく異世界にきたのに、ショートソードとか嫌だなぁ。

隼の剣とかないのかなぁ‥。

あれは軽そうじゃん。

店内を隈なく見てまわる。


すると重ねられた剣の中に、木刀のような物をみつけた。

とりあえず手に取ってみる。

あっ、メチャクチャ軽い。

これなら振れそうだ。

それによく見ると、木刀ではなく、木の鞘になっていた。

思い切って抜こうとするが、全然抜けない。

すると頭の中に声が聞こえてくる。


刀「魔力か血を下さい」

イチロー「嫌です。」

刀「力が欲しくないですか?」

イチロー「いりません。閻魔大王とかドラゴンがいるので、間に合ってます。」

刀「ずっとヒモのままですか?」

こいつ、人がきにしていること言ってくる‥。

刀「私、そこそこ強いですよ。」

イチロー「でも、結局俺の力じゃないよね?」

刀「血の方をくれたら、体の一部になるから、貴方の力になりますよ。」

イチロー「血って言われても‥」

刀「血はちょっとだけですよ?今なら妹も付けます。」

イチロー「妹?要らないです。そういうの本当に間に合ってますので。」

刀「あっ、妹が怒ってます。ちょっと代わりますね。

いや、電話じゃないし‥。

刀妹「姉から聞きました。あなたどういうことですか?私が嫌いですか?」

イチロー「好きとか嫌いとかではなく、女性は間に合ってますので‥。」

刀妹「えっ、まさか?男のがいいとか?」

イチロー「絶対に嫌です!!」

刀妹「では、私がいいって事ですね。了解しました!」

イチロー「いいとか言ってないけど。」

刀妹「男のくせにグダグダ言うな!!」

イチロー「すいません。」

思わず謝ってしまった。

刀妹「じゃー契約成立ってことで。」


するとゴスロリ衣装の姉妹が現れ、首に左右から噛み付いた。

あっ、血が吸われる。

ちょっと吸い過ぎじゃない?

刀姉「そろそろ止めないと死んじゃうわね。」

刀妹「では、姉さんが離して下さい。」

刀姉「あなたが離しなさいよ。」

イチロー「いいから、離せ!」

何とか、死ぬ前に2人を引き離した。


刀姉「とりあえず契約は成立したので、一旦は刀に戻るわ。」

刀妹「契約は初めてだから興奮するわね。では、夜にでも逢いましょう!」

そう言うと、刀と脇差の姿になった。


不味いことになった。

これは家族会議になる予感がする。

とにかく刀を店に置いていこう。

すると刀が体に吸い付いてくる。

怖いから!

仕方がない、『収納』。

げっ、エラーで弾かれた。

結局持って行くことにした。


イチロー「すいません、この刀2本下さい。」

店主「そんなの置いてねぇよ。どっから持ち込んだ?」

イチロー「これを腰から下げたいんですが、出来ますか?」

店主「何で2本も差すんだよ?」

イチロー「武士みたいでカッコいいからです。」

ゾン「ついでにコレもつけてみろ。」

ゾンが黒い眼帯を持ってきた。

いや、それつけたら中二病全開じゃん。


結果、俺の装備は

眼帯、冒険者の服改、妖刀2になった。

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