異世界転生!!! ハイハイからの倍人生
@kamuiimuka
異世界
第1話 僕 誕生
オギャ~オギャ~
「お~元気に泣いてるな」
「ええ、とても元気ですね」
とてもイケメンな父と美人な母から僕は生まれた。
生まれてすぐに僕のステータスを調べられましたがその結果は両親を傷つける物になっていたようです。
「そ、そんな....」
「嘘だ。そんな」
両親は涙して抱き合っていた。先ほどまでの喜んだ顔が嘘のように悲しい涙を流している。私は生まれた時からスキル[神眼]によって周りを見通す事ができた、それによって両親の悲しんだ顔を見ることになってしまったのはとても悲しい。
アステリア・ジーニ
LV 1
HP 5
MP 3
STR6
VIT5
DEX7
AGI5
INT4
MND3
スキル [神眼(秘匿)]
これが僕のステータスか。名前はアステリアが苗字でジーニが名前かな。執事のお爺さんが僕の指に針を刺して血を一滴垂らしたカードを覗き見たらこんなことが書いてあった。これを見て両親が泣いたという事はかなり弱い数値なのだろう。
「まさか英雄と言われた私の子供が加護やスキルを持っていないとは...」
「あ~...ツヴァイ様申し訳ございません...」
「....いや私こそすまない、お前は十分苦しんでいるよ」
「領主様こちらを」
「...すまないな」
母だと思われる人が泣きながら謝り続ける中執事のような人が小さなピアスをツヴァイと言われた父と思わしきイケメンに渡した。
(まさか)
僕がそう思ったその時父は僕の耳にピアスで穴をあけた。
「オギャアオギャア!」
(いて~~、なんてことすんだ!生まれたばっかの子の耳にピアスって)
僕の叫びは母の鳴き声と共に部屋を覆った。
あの出来事から早1年、僕はハイハイをしております。
あのピアスは無能と差別されている人達につける印だそうだ。
この世界は転生する前の日本では考えられないような差別が横行している。
獣人しかりエルフやはたまた奴隷、人族はどの種族とも仲が悪い、表面上は仲良くしているようだがたびたび戦が起きる。大抵人族の国が他の種族を奴隷にしたくて戦を起すと言った所。
人族以外の種族も人族の事を白ゴブリンと比喩し毛嫌いしている。人族は他の種族よりも人数がいて出産率も高い事を揶揄っているようだ。どうにも世知辛い。
こんな世界に産み落とされた僕はどうなるかというと。
「まさか、ツヴァイ様のお子がこのような無能とは」
とまあこのような本人に聞こえる距離からの陰口が横行するわけで....ってか陰口って陰で言うものでしょ。僕はこんなに幼いんだよ恥ずかしくないのか。こんなに可愛い顔してるじゃないか。
誰も褒めてくれないので自分の顔を神眼でみて褒める。流石のイケメン父の遺伝子により中性的な顔立ちの僕。中々にイケメンの部類になると思うのだが。まあまだ1チャイなのでわからないけれども。
「ほら、そこ!、サボってないで仕事をしなさい」
「「あ、はい!」」
陰口をしていたメイド達を叱るメイド長のシリカさん。叱った後悲しそうな顔で僕を見つめている。
「坊ちゃまそのような所では風邪をひいてしまいますよ」
そういってシリカさんは僕を抱き上げて暖炉の前の椅子に腰かける。
「坊ちゃま、いえジーニ様、私はジーニ様の味方でございますよ。どうか元気にお育ちください」
シリカさんがそう言って僕の頬にキスをする。青いサラサラな髪が鼻をくすぐる。
(綺麗な人だな。そんなに落ち込んではいなかったけど僕はこの人の為に生きたいな)
そう思ったジーニであった。
「ではジーニ様、私は仕事に戻りますね」
シリカさんは僕を椅子に座らせて仕事に戻って行った。
「あ~う~」
絶賛退屈中~、どうにも赤ちゃんの体では出来ることが限られるので暇になってしまう。この屋敷も探検し終わってしまった。
この屋敷は地下もあわせると15部屋あり二階建ての建物。赤ちゃんの体で全部を回るのは大変だった。メイドに見つかる度部屋に戻されていたのでなおさらだ。
探索したおかげで魔法の本もくすねている。そう!この世界には魔法があるのです。空を飛んだり火や水を出すなんてお手の物。メイド達なんか掃除とか料理とかで魔法使ってて素晴らしいの一言だ。
ということで僕は魔法の勉強をすることにしました。読めば読むほど面白い、歴史も学んだけどどうやら魔物もこの世界には存在するらしい。魔法があると魔素があり魔素が動物を魔物に変える、こんな構図になるのは当たり前で魔物になると見境なしに近くの動物を襲うらしい。何それ怖い。
そんな恐怖にも負けないように僕は魔法を勉強していく。
ステータスを見るためのカードは一人一人魂と同化させて持つことができる。最初にその事を知った時は驚き戸惑ったよ。心臓辺りの胸からまるで自動改札の切符みたいに出てくるんだもの。
カードを持って「ステータス」そう話すとというか思うだけでもいいんだけどでこんな感じで現れる。
アステリア・ジーニ
LV 1
STR6 [20倍(秘匿)120]
VIT5 [20倍(秘匿)100]
DEX7 [20倍(秘匿)140]
AGI5 [20倍(秘匿)100]
INT4 [20倍(秘匿)80]
MND3 [20倍(秘匿)60]
スキル [神眼(秘匿)][超早熟][超大器晩成]
なんか色々変わっていました。早熟で晩成ってどっちだよって感じだけど要はずっと成長できるって事かな?。
神眼で見て見るとやっぱり経験値を増幅させる効果があるようで早熟と晩成がついている事で成長は一生続くみたい...便利だね。
ステータスが20倍になっているのはチートでございます。
なんとわたくしレベルを消費してステータス値を倍に変換出来るらしいのです。何を言っているのかというと.....レベルが2になりました....レベルを1に戻してステータス値を二倍にします。とこんな感じにレベルを犠牲に倍に変換できるという事なんです。ちなみにレベルあげは日常生活でも十分上がります。レベル1から2に上がるのなんて地下に行く為の階段で上がりましたよ。たぶんここら辺は[超早熟]で経験値が上がっているのでしょう。
これはスキルではなく女神様から頂いたチートなのでステータスには載らない。ちなみに倍の数値や倍の欄は他者には見えません。
今では屋敷の探索もハイハイで簡単、こんな本棚だって本が入ったまま。
「う~うう~」
「ジーニ様、何をしているんですか」
流石にまだ無理でした。シリカさんに叱られてしまった。
「シリカ、王に呼ばれてしまった。家族を頼むぞ」
「畏まりました。行ってらっしゃいませ」
英雄伯の父ツヴァイはよくよく王に呼ばれて家を離れる。その間シリカさんとメイド達は母のお世話と僕のお世話をしてくれている。
母は残念ながら床に伏せっている。早く成長して母を元気づけてあげたい。二階で寝ている母に会いに行こうと何度か挑戦したのだが母は僕を見るのもつらいのかメイドが呟いている。
「メリア様もおかわいそうに。このような無能を産んでしまってあのようにやせ細ってしまって」
「ほんと、あのように美しかったお方が....」
子供の前で言うかね....こっちが何にも考えられないと思って。
「ダ~」
「あら、怒っちゃった。ってまだわからないわよね」
「そうね、顔は可愛いのにね~」
こら、お前ら可愛い顔してても許さんぞ。今に見ておれよ!。でももっと顔褒めて~。
とまあそんな感じで二階には行けないんだよね。どうにか早くこの事実を教えてあげないと母が本当に死んでしまう。
父は不在、母は二階、そして私は。
「ス~ス~」
寝ているシリカさんに抱かれたまま暖炉の前。
疲れているのかな。ほんとに綺麗な人だ。
メイド達からは冷徹と言われているシリカさんも僕には優しくそれでいていつも抱きしめてくれる。
「坊ちゃま....」
僕はここにいますよ。寝言かな...気持ちよさそう。
ん?
何か神眼に引っかかった。常時周囲警戒していた僕は眠ったままのシリカさんを起さないように移動して不審なエリアに向かう。
「おい、本当にこの屋敷に今人はいないのか?」
「ああ、今日は大体のメイドや執事は休みか伯爵のお付きだ」
そうです、確かにツヴァイお父様にみんなついて行っちゃいました。屋敷にはシリカさんと母そして母の部屋の前で僕が入らないように待つメイドのララさん、この人は無口にいつも本を読んでいる、でも僕が階段から顔を覗かせると瞬時に駆け寄ってきて降ろされる。抱き上げた時はぬいぐるみを持つ様に抱きしめられるので悪い人ではないだろう。
「そうか。3人だな」
「ああ」
僕は人数に入っていないのね。まあいいか。
「ダ~」
「どわっ!」
「なんだ」
窓から飛び出して髭の濃い男の顔に張り付いた。
「このガキ!」
「早く剥がしてくれ」
「ダ~ダ~」
剥がれませんよ~、私の戦闘力は53万ですよ。嘘だけど。
「この野郎なんて力だ」
わ~、こんな赤ちゃんに刃物を取り出すとは想定外。はがそうとしていた男が刃物を取り出した。
「ダ~ウ~」
させませんよっと。刃物を取り出した男の顔に飛びつく。
「うわ、この野郎離れやがれ」
「やっと解放された...」
ちっ、あとちょっとであの髭の男を窒息出来そうだったのに、仕方ないこっちの男を僕の腹で窒息させてやるぜ。このプニプニのお腹を食らえ~。
「ぐ.....」
「おい、大丈夫か!! このガキ!」
よし、一人は当分起きないだろう。
「タッタッタ~」
「このやろどこ行きやがる」
ロングソードを取り出した男相手に流石に分が悪いのでゲリラ戦に持ち込む。高速のハイハイで家に入っていくジーニ
「あの野郎~」
激昂している髭の男が僕を探して屋敷に入ってきた、シリカさんや母のいるエリアに行かせないように始末しなければ。
パタン!
「む、こっちか」
ハイハイで動いている為音がない。誘い込む為に本を落した。
男が音のした方向に歩いてくる。
「ダ~」
「どわっ」
英和辞典よりも少し分厚い本を本棚の上から投げつけた。今僕は高校球児と同じくらいの腕力になっているので簡単に男の意識をもっていった。
「ダ~ウ~」
重い~、髭の男を屋敷の外に運んでいます。しかしハイハイで運ぶのは大変....。
「ジーニ様?」
「ダ?」
男の裾を噛んで運んでいた僕は振り返った。そこには不思議そうに見つめるシリカさんが立っていた。
「それは誰ですか?」
「ん、その男は強盗みたい、私見てたの」
「ちょっと、見てたって...」
ありゃ、見られてた....。二階から降りてきたのはララさん、シリカさんはララさんを叱っている。確かに見ていたのなら助けてほしかった。
「でも、坊ちゃまがこの強盗を?」
「ん、そう見えた。最後は本を投げつけてたけど私と同じ位の威力だったと思うよ」
ララさん、分析しすぎです。シリカさんが驚いた顔で僕に視線を移して抱きしめた。
「ジーニ様どうか無茶をしないでください」
シリカさんは涙して抱きしめる力が強くなった。そうだよね。僕まだ1歳だもんな~。
「ん、この男と外の男は鎖でつないでギルドに連絡しておきます」
ララさんが片手で髭の男を引きずって持っていく。見かけによらずパワフル....チャ~ンス。
「ダッダッダ~~」
「ジーニ様どこに!?」
まるで体が赤くなったかのように3倍のスピードで階段を駆け上がる。僕はララさんのいない隙に母を見に行く。
「ダ~」
母の部屋の扉に着き取っ手に飛びついた。
ガチャガチャガチャ。
何!鍵がついているだと....ぐぬぬぬぬ、では僕も手段を選ばん!。
「ダウ!」
扉の取っ手が爆発を起す。
僕は魔法を使って取ってを壊す。この世界の魔法は声に出して使うのが主流だが僕はどちらでも出来るようになりました。だって1歳の体では発音がうまくできないんだもの習得するしかないじゃん。
「何、だれなの?ララ?」
部屋の中から声が聞こえてくる。あ~一年前に聞いた声と一緒だ~。
「ダ~ウ~」
「え、ジーニ?まさかそんな」
あれ?泣いちゃうの、どうして?。
母のメリアが号泣してしまった。それがうれし泣きなのかはわからなかった。
それから毎日僕は母と会う事ができるようになった。
母はみるみる元気になっていった。僕が無能では無かった事でホッとしたのだろう。部屋にこもる事はなくなった。実は光魔法で毎日癒してたのは内緒、ララさんに凄く見られていたけど。
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