31 アタッカー格付けチェック

『さぁ第4試合。最初の安全地帯は西、展望台を中心に東はマーケットまで入っています』

『海が少ないですから、入るところがたくさんあります。安全に移動ができそうですね』

『落ち着いた第1フェーズになりそうです』


「さて、そろそろ移動するかな」


 今回の飛行機の航路は2時から9時だったので、Rainbow squad はいつも通りバスセンターで物資を集めていた。安全地帯が閉まり始めるまでには余裕はあるが、より中心部に行ったほうが有利なので早めに出発したい。


 目的地は展望台下の集落。

 マップ西部には大きな山があり、その上には展望台と呼ばれる建物がある、その山の麓に建物が4つ固まった場所があり、今後の展開を考えると抑えておきたい場所だ。


 しばらく車を走らせていると、前方を走るチームを見つけた。


「ありゃ?先約かな?」


 どうやら方向的に同じ場所を目指していそうだった。


「どうしますか?」こういう時に確認するのはいつも雫だ。

「そのまま追いかけていくかな。彼らに安全を確保してもらおう」


『さぁ先頭を行くoyatsu no zikanおやつの時間 。その後ろをついていくのがRainbow squad』

『目的地は展望台の麓ですかね?でも先客がいるんですよ。どうするのかな?』


 Rainbow squad の前を走るチーム──oyatsu no zikan が目的地の建物から撃たれているようだ。建物の窓からマズルフラッシュが見える。


「既に取られてますよ。そのまま行きますか?」

「当然!突っ込むよ!」


『撃たれたoyatsu no zikan は慌てて方向を変えます。続くRainbow squad は……これは、そのまま突っ込むぞ!』

『取りに行きますか。強気だなぁ』


 そのまま目的地へ突っ込むRainbow squad に、容赦ない銃弾が浴びせられる。だが速度を緩めることなくアクセルを踏む。


「ゴーゴーゴー!怖がらない!」


 目的の集落は4つの建物が道路を挟んで2つずつ並んでいる。ちょうど漢字の”田”のようにきれいに配置されているため、真北から侵入することで南側2軒からの射線を切ることができる。

 前の走っていたチームが撃たれた様子から、敵は各家にひとりずつ入っていることが分かった。

 車を乱暴に停めると、片方の家には美波が、もう片方の家には残り3人が入る。

 家は2階建てで、敵は上の階にいるようだった。すみれは迷うことなく階段を登る。当然待ち構える敵にダウンを取られるが、すぐ後ろに雫と絵麻が続く。続けざまに撃たれて雫は瀕死になるが、上手いこと引いてダウンを取られない。そのまま入れ替わるように絵麻が飛び出て敵を撃つ。


「おっけー倒した!」

「こっちも」


 もう1軒に入った美波は既に敵を倒している。これで4vs2。


「雫、すみれを起こして」

「はい」


 自分のキルログを見ると、敵はHunters だった。ReAtackレアタック の名前はない。そうやら道路向かいの家にいるらしい。


「お、Hunters じゃん。美波、どっちが上か分からせてやりなよ」

「おけ」


『さぁ電光石火の突撃で2人を倒したRainbow squad !minazuki 対 ReAtack は見られるのでしょうか』

『強かったですねぇ。minazuki選手がいれば片方の家に3人入れますからね、守る方としては厄介ですよ』


 一方で追い込まれたのはHunters だ。


「すまんやられた」

「いくら何でも3人はきついわ」

「構わない。minazuki と撃ち合えるチャンスだ」


 ReAtack はスコープをのぞいて美波がいる部屋を注視する。やつはまだあの部屋にいるはずだ。集中力を研ぎ澄まし、静かに1点を見つめる。


『注目の戦いです』

『状況的には敵の場所が分かっているReAtack選手が有利ですね、minazuki選手は相手がどの窓にいるのかまだ分かってません』


 その時、窓から美波が頭を出した。

 反射的に引き金を引き、飛び出した銃弾が敵の頭に吸い込まれるように命中する。血を模したヒットエフェクトが飛び散り、ヘルメットが飛ぶのが見えた。

 だがReAtack が持っているのはセミオート式のスナイパーライフルだ。頭一発では倒せない。あと一撃。胴体にでも命中すれば勝ちだ。

 と、次の瞬間。敵の銃弾がReAtackの頭に命中し、そのままダウンをさせられた。

 美波が持っているのはボルトアクションのスナイパーライフルだ。連射が効かないぶん威力が高く、頭なら一撃で倒すことができる。


「それを返すのか……強いな」


 美波が顔を出してから1秒にも満たない、まさに一瞬の戦いだった。


『おおおぉっとminazuki選手!カウンターの一撃でReAtack選手を撃ち抜きました!』

『いやいや、minazuki選手はReAtack選手の位置を分かってないはずなんですけど、なんで返せるんですか……強すぎでしょ』


 美波からすると「マズルフラッシュが見えたから反射的に撃ち返した」だけなのだが、それで敵を倒せるのは、少なくともこの大会では美波だけだ。


「倒したよ」

「さっすが!あと一人、さっさと潰しに行くよ!」


 3人が道路を渡り、それを阻止しようとする敵の攻撃によって、またしても先頭を走るすみれがダウンする。が、すみれを撃つためには窓から顔を出す必要があり、窓から顔を出せば美波からも見えるということで──。


『minazuki選手がHunters 最後の1人倒してチームダウン。この試合最初の脱落はなんとHunters !しかもRainbow squad に4キルぶんのポイントが入りますから、1位と2位の差が開きそうですね』

『Rainbow squad はこれまでの3試合、必ず10pt以上取ってますからね。Hunters にとっては痛いですよ』


「周囲警戒。漁りたい人は交代でね」

「安置変わります……南東」


『2つ目の安全地帯は南東。スタジアムの中心にマーケットが半分と、展望台も入ります。逆に外れたのはロス・ラモスとモストレス、それに漁村などです』

『大きな町が外れましたね。今戦いがあったRainbow squad の位置、ここすごく良い位置ですけど、他のチームが狙って来るかもしれませんね』

『良い位置故に狙われてしまうと』

『そうです』


「1チームくるかも」


 遠くを索敵する絵麻が言う。北の方に見えた車が進路をこちら側へ向けた。


「全員北側に来て。受けるよ」



【あとがき】

2021.08.07

小説のタイトルを変更いています


旧題:Killer Queen~親友が将来ニートになりそうなので、配信者として成功できるようプロデュースします。ところで初回配信で10万人いるんだけど何でですか?~

               ↓

新題:Killer Queen~FPSで幼馴染(美少女)を最高に幸せにする方法~

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