呼んでいるよ。
夏の暑い風と、薄い風が吹きつける歩道をトボトボと大学3年になる
大学の授業が終わり、バイトの時間までどこで時間をつぶそうかと考えていた。13時を過ぎたばかりで、昼食時のピークなのか店はどこも人で溢れていて入る店が決まらない。
和登は面倒くさいなって、近くのコンビニで冷麺とコーラを買った。店の前にある木々に囲まれたテーブル付きベンチに座って冷麺をすする。人の数も少なく、夏の暑さと木陰の風により静かに過ごすことが出来た。
目の前に、幼稚園児くらいの男の子が立ち止まった。短髪で、青のパーカーに黒いズボンを履いている。和登と目が合って動かない。
「アキ!!」「アキ!!こっち来なさい。」
和登の背後から叫ぶような声がした。和登は男の子が呼ばれていると思ったが、男の子は反応らしきものは何1つしなかった。ただ、立ち止まって、和登の目の先に立ってる。そこからどこかに立ち去ることもなく、立ち止まっていた。
「アキ!! こっち来なさい。アキ!!」
何度も呼ばように叫んでいるので、振り返った。後ろには、おばさんが立ち止まった。
「アキ、何してんの?」
和登とおばさんの方を確認した。おばさんの視線の先には、犬がいた。小型犬のパピヨンみたいな犬だった。離されたリードをつけた状態で花壇の方を向いていた。おばさんの声に全く反応していなかった。
その犬に、向かって「アキ」と、また叫ぶような大きな声で呼んでいた。
「なんで勝手にどこかに行くの。もう」
おばさんは犬を脇に抱いて、歩いて行った。
チラッと男の子を見ると、母親らしき人がやって来て、一緒にどこかに行ってしまった。
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