第281話 盗賊でも警戒することはあるんだね
「姫様、あの街で休憩にしましょう」
メイド長は先ほど何事もなかったかのように街の方を指差す。
「えぇ!? さっき盗賊が襲ってきたのに何事もなかったかのように話を進めているんですか!!」
ナナリーが突っ込みを入れた。
「いや、王族ならああいう輩と会うこと多いし普通じゃないの?」
「そんなことないですよ。だって私がアラン殿下に仕えていた時にはああいう人たちと会ったことないですよ? あれ? でも......そもそも近づく人が少なかったような......」
僕の言葉を聞いて頭を悩ませるナナリー。
どうやらアラン王子ほどの変態ともなれば盗賊もお近づきにはなりたくないらしい。
「話は終わりましたね。では領主の元へ向かいます」
メイド長の合図で僕たち4人はこの街の一番大きな建物に向かうのだった。
建物に入るとおばあちゃんメイドが出迎えてくれた。
「ようこそ、アイネ姫様。お待ちしておりました。さあ、旦那さまがお待ちです。こちらへどうぞ」
旦那さまってことは残念ながらこの館の主人は美人のお姉さんの可能性は消えたわけか......え? 何で美人のお姉さんかって? こういう時の定番じゃないか!!
おばあちゃんメイドの後について行き、部屋に入るといかにも偉そうな感じの人が座っていた。
「キャサリン、ご苦労。アイネ姫様、長旅でお疲れでしょう。どうぞ、そちらにおかけください」
どうやらこちらにいらっしゃるご高齢のメイドはキャサリンと言うらしい。若いお姉さんっぽい名前なのにキャサリンなのかよ!! とはさすがにこの状況で突っ込めないので僕の心の中に留めておこう。
とりあえず案内されたソファーに座った。僕が座ったのと廊下の方から話声が聞こえてきた。
「オレ今日は金が入ったんだから朝まで飲ませてくれよ。何でこんな時に限って集合なんだよ」
「集合はもう1週間も前に決まっていたことだろう? いまさら文句を言うんじゃない」
あれ? 廊下の声の1人に聞き覚えが......
「ちーす。休日返上で来ましたよっと......あ! 君はさっきの美幼女!」
ロリ......じゃなかった、いやロリコンは否定できないか......ともかくスザクは僕のことを指差した。
まさかこのタイミングでの再登場は誰が予測できただろうか。
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