第276話 例の病気だね
昼下がりのポカポカしていて太陽の日差しが心地いい。どうやら今日はお見合いの予定もなく中庭で僕は紅茶を飲んでいた。
何でそんなことをしているかって? 新しく来たナナリーやセイラと仲を深めるのもいいかもしれないと思っておしゃべりでもしようと思ってね。これから長い付き合いに......いや、僕は一刻も早くこの世界から脱出するんだった。短い付き合いかもしれないけれど仲を深めることにしたと訂正しておこう。
「ところでセイラはどこの国出身なの?」
僕はティーカップをテーブルの上に置いてセイラの方を見た。
「我が生まれたのは邪龍が住まう暗黒の大陸の奥地......誰も行ったことのない秘境の
僕の背後にメイド長が居るからなのかセイラは敬語を使っている。が、しかし! 何言ってるか全然分かんないや! 誰も行ったことないのに何でセイラはそこで生まれてるの? とか突っ込みどころがあるが恐らく彼女は例の病気だろうからそこには触れないでおこう。
「メイド長、セイラの出身はどこなの?」
「ちょ!! 姫様! さっき私が答えたじゃないですか!! 何で私に聞いたことをなかったことにしてメイド長に聞き直しているんですか!?」
セイラはテーブルをバンバンと叩くので隣に居たナナリーがすかさずティーカップとそばに置いてあったお菓子を入れた皿を持ち上げた。
うん。やっぱりナナリーは優秀だ。
「姫様、セイラはホモバカリ王国出身のメイドになります」
「......って何でメイド長も私のこと無視して答えているんですか!!」
セイラはメイド長にも敬語を使うんだね。留学中は直属の上司みたいなものだからかな?
「今の話......詳しく!」
呼んでもないのになぜかサーシャが僕の隣に立っていた。
ホモバカリ......ホモ......BL? そのあたりに反応したのだろうか? ホモとBLは違うと思うのだけれど......
「私もあまり詳しくは知りませんが、ここから200キロくらい東にある小国で、特産品は大根とニンジンです。そして、年中暖かい国で冬でも15℃以上の気温が......」
メイド長はそんな調子で10分くらい語り続けた。メイド長にとってあまり詳しくないの基準が分らなくなってきたよ。
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