第273話 お見合いエスケープ
「全くそんなんだからおまえは嫁の貰い手がないんだよ。仕方がないから俺が貰ってもいいぜ?」
僕の様子を見てマルス王子は呆れたように僕を見ていた。
僕としてはむしろ嫁の貰い手がないほうが大歓迎なのだがきっとそんな発言はメイド長が許してくれないだろう。
「あ、そう言えば! マルス王子のところにソフィアが行くんだよね? ソフィアはどこかな?」
とりあえずお見合いっぽい感じの雰囲気にしたくないので僕はソフィアを巻き込もうとする。
「はーい! 私ならここで待機してまーす!」
既にソフィアは部屋に待機していたようだ。
ナイス! ソフィア! 僕が呼ぶ前から部屋に居るなんて当家のメイドは相変わらず優秀で助かるね。
「マルス王子、紹介するよ。この子が預かってもらうメイドのソフィア」
「ああ......よろしく頼む。ソフィア」
マルス王子はソフィアの方を向いて軽く頷いた。
「はい。よろしくお願いします」
ソフィアも深々と頭を下げる。
「紹介も終わったところでこの後は引き継ぎとああると思うから僕はこの辺で......」
僕はそう言って唖然とする2人を置いて部屋を出ていこうとする。
今回はいつもと違う......お見合いより重要な引き継ぎがあるからだ。これならメイド長も納得......
「納得しませんよ。変なお芝居は止めて引き続きお見合いをしてください。そもそも引き継ぎは済ませてありますのでご安心ください」
さすが当家のメイド、しかもメイド長だ......こういう時は優秀すぎて困るよ。
メイド長は僕を猫でも運ぶかのようにつままれて先ほどのソファーに連れ戻される。
「姫様、緊張なさっているんでーすね! 大丈夫でーすよ! リラックス! リラックスでーす!」
ソフィアは何を勘違いしているか知らないけど緊張していると思っているようだ。
今日のところは失敗したので不本意ながら真面目に(?)お見合いをすることにした......え? いつも失敗しているじゃないかって? それは言わないで欲しい。
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