第271話 ドSにならないで!

 とりあえずアスカがメイド留学しないということが確定したということで誰がアラン王子のところに留学するのかという疑問が生まれる。

 正直エリナやソフィアをアラン王子のところに送り出したくない。なぜかって? ドSになって帰ってくると僕の心が折れそうになるからだ。

「あのさ......メイド長、ナナリーの代わりにエリナとソフィアがアラン王子のところで学んでくるの?」

「いえ、必ずしもそうとはなりません。抽選で決めているので必ずしも入れ替わりとなるわけではないのです。エリナはジーク殿下のところで、ソフィアはマルス殿下のところで学ぶ予定となっております」

 はぁああああ......良かった!! とりあえず2人ともまともな王子のところだったよ。でも、エリナはいいのかな? 出身国だから新鮮味があんまりなさそうだけど......

「問題ありません。エリナは明後日の方向を見ながら『あはははは! これでメイドとしてまた一段と成長できるので嬉しいでぇす』と言ってましたから」

 メイド長は僕の頭の中の質問に答える。

 エリナが壊れた!? あの超人ロリっ子メイドのニーナのところに留学するわけだもんね。想像するだけでそんな風になってるのに実際にニーナのところで学んだらと考えるとエリナはどうなってしまうんだろうか?

「申し訳ないがそろそろ帰らせてもらうよ。そろそろ次の予定もあるのでね。ではアイネ姫、ナナリーのことをよろしくお願いする」

 アラン王子は軽く会釈をすると隣に居たメイドと一緒に部屋から出ていった。

「アイネ姫様、今日からよろしくお願いします」

「うん。よろしく、ナナリー」

 ほほ笑むナナリーを見ながら僕は和やかな気分になる。エリナとソフィアがしばらく居なくなっちゃうのは寂しいけど新しいメイドたちと交流できるのは嬉しいものだ。

「ナナリーは幸せだったわね! まさかメイド留学でまた私と一緒に仕事ができるなんて! せいぜい私のことを見習って仕事を覚えなさいよ」

 ポンっとナナリーの肩に手を置くアスカ。

「前足で触らないでもらえるかしら? 汚らわしい!」

 ナナリーはアスカの手を振り払ってゴミを見るような目で見る。やはりナナリーのこれは条件反射みたいになって染みついているようだ。

「......はっ! ごめん! アスカ!」

 我に返ったナナリーは倒れたアスカを起こした。

 ナナリーの問題はとりあえず後で考えるとして今気になるのは......

「メイド長、今回メイド留学で来るのはナナリーだけなの?」

 エリナとソフィアの2人学びに出るのだから、受け入れるのも2人になる......そう考えるのが自然だろうと思い尋ねる。

「はい。もう1人メイドが来る予定となっております」

 もう1人のメイド......誰が来るのか楽しみだね!

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