第260話 2回目の自己紹介

「今日はいい天気だ!」

 昨日までの雨が嘘みたいにすっかり止んで雲ひとつない青空を僕は自室の窓から眺める。昨日のトメとの騒動以降特に何事もなくパーティー参加者と会話を楽しみ美少女成分が補給できた。その代りと言うわけではないが、気がかりなのはトメはあのまま無罪放免見逃したんだよね......

 え? アイギス王子はどうなったかって? あれ以降会ってないから僕も分らないよ。

「おはようございます。お姉様」

 床の方......つまり僕のスカートの中から声が聞こえる。言うまでもないかもしれないが声の主はアリスだ。

「アリ......姫様、そのような挨拶はお止めください」

「メルダリン!? 久し振りだね」

 お気づきの人もいるかもしれないけど僕やアリスの家では自分の主人のことを『姫様』と呼ぶ。まだメルダリンは慣れていないようだけど。

「はい。研修が終わりましたので姫様のお付きのメイドとして参りました。メイド長に確認しましたが本日の午前中は姫様とアイネ様で過ごしてよいとのことです」

 これでお待ちかねの人も多いメルダリンの情報が聞けるわけだ......え? 別に待ってないって? そう言わずに一緒に聞こうじゃないか。

「それじゃあさっそく情報交換をしようか。まずアリスは椅子に座るところから始めようじゃないか」

「お姉様......何をおっしゃっていらっしゃるのか理解できませんわ。ここが私のベストポジションですわ!!」

 アリスは先ほどと体制を一切変えることなくスカートを覗きながら宣言する。

 ......僕もアリスの言っていることが理解できないよ。そもそも床に寝そべるキャラはマーラだけで十分なんだよ!!

 僕は仕方がないので椅子に座るとアリスが『スカートの中が覗けませんわ』と文句を言いだしたけど気にしないで始めることにした。

「では改めて自己紹介をします。私の本当の名前はペロプスです」

「メルダリン、ちょっと待って......名前間違えてない?」

 僕は手を挙げて早速メルダリンの発言を止める。

「えっとメルダリンは私が女神の力をほぼ失ってからの人間としての名前で本名はペロプスなんですよ」

「え? もう1回待って......女神? ペロプスが?」

 何か呼びにくい名前だな......

「ああ、呼び方は今まで通りでメルダリンでいいですよ」

 じゃあ何で名前名乗ったんだよ! 読者を混乱させるだけじゃないか!! 読者のみんな! 僕はややこしいのでメルダリンは今後もメルダリン呼びすることにするよ。

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