第239話 いざパジャマパーティーの会場へ

 ミランダさんの屋敷に入るともう何人か集まっていた。

「あんたはアイネ姫やな? めっちゃ美人やさかいすぐ分かったで!」

 少し色黒の肌の少女が僕の肩に軽く手をのせた。

「お、お、お、お嬢様! ダメですよ! そんな話し方したら! 相手はあのアイネ姫様ですよ! ご機嫌を損ねたら当家は潰されかねないですよ! すみません! 本当にすみません!」

 メイド服を着た女性が色黒少女の頭を掴んで何度もペコペコを頭を下げさせていた。

「かんにんな......口が悪いのは生まれつきやさかい許してや」

 色黒少女は押さえつけられた頭を少し上げて手を合わせて謝った。

「だ・か・ら! 敬語を使わないとダメですって! すみません! 本当にすみません!」

 メイド服を着た女性がまたも色黒少女の頭を掴んで何度もペコペコを頭を下げさせていた。

「あ、いや......別に怒ってないから」

 むしろ気になるのはこの子......異世界転移者じゃね? 関西弁で話しているし......まあこの世界に方言があってもおかしくはないから断定はできないけど。

 色黒少女がその場を離れた後に僕は部屋を見渡した。

 見渡す限り女子! 人数で言えばメイドを除くと7人くらいかな? うん......これはなかなかに眼福だね! もう着替えているパジャマ姿の人は少ないけど......

「アイネ様、遠いところよくおいでくださいました」

 声をかけてきたのはミランダさんだった。相変わらずの完璧な男装でイケメンにしか見えない。

「ミランダさん、お久しぶりです」

「それにしもて本日もお美しいですね......おっと、パジャマはボクの方で用意しました。こちらをどうぞ......」

「ありがとう......って何これ? っていうかこれ水着ですよね?」

 ミランダさんに手渡されたのははっ水性がよさそうな2枚の生地。下着なら100歩譲ってパジャマと言えなくもないけど......

「アイネ様、こんな言葉を知っていますか? 水着は古今東西どんな時にも着ることができる万能な衣服だと」

 ミランダさんは明言のように語った。

 いや......聞いたことないけど? 僕はこの世界に詳しくないから聞いたことないだけかもしれないけど。

「誰の言葉なんですか?」

「ボクの言葉です!」

 ミランダさんは相変わらず欲望に忠実な人だな......

「......チェンジで! メイド長、持って来たパジャマを!」

 僕はメイド長の方に手を差し出した。

「そんなぁ! 着てくださいよ!! ここ1週間徹夜して作った自信作なんですよ!」

 ミランダさんは僕の服を泣きじゃくりながら引っ張っていた。

 この人は1週間も徹夜して何をしてたんだか......

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