第227話 ヘビーローテンション
「今日は一日よろしくお願いしまーす!」
僕がヘビーローテンションなのにヘビーハイテンションなソフィアが今日のお供のメイドなようだ。
え? 英語の文法的にそこはヘビーじゃなくてベリーだろって? 一昔前に流行った日本のアイドルグループの曲名にちなんで思っただけだよ!
「姫様、どうぞ馬車にお乗りください」
当然メイド長もついて来る。
「さあ! 行くわよ! 打倒、マスカット王子よ!」
コロネは腕を空に向けて挙げて宣言する。
......それにしても相手の王子様の名前。なんだか食欲をそそる名前だな。
そんなことを考えている僕とは関係なく馬車は走り出した。
馬車を走らせること数十分後。僕はふと思いついたようにコロネに質問した。
「ところでマスカット王子ってどんな人なの?」
「そうね......一言でいえば、リンゴがとても大好きで、ほとんど毎日リンゴを食べている王子ね」
「何でだよ!? マスカット王子ならマスカット食べようよ!! 100歩譲ってせめてブドウを食べてよ!!」
「そ、そんなこと私に言われても知らないわよ」
コロネはプイっと僕から顔をそらした。
「マスカット殿下の国はマスカットが名産なんでーす! マスカット殿下は幼少の頃よりたくさん食べて飽きたって聞いてまーす」
ソフィアがコロネの説明に補足するように付け加えてくれた。
......というかそれならそれでリンゴは食べ飽きないのと突っ込みたくなるんだけど? いやいや......そんなことはどうでもいい! コロネにはザックス王子と結婚してもらって、僕のお見合い候補から外れてもらうためにも協力してあげないと!
「そうじゃなくてコロネはそのマスカット王子のことはどう思ってるの? ほら、タイプじゃないならやんわりと断る心の準備でもしておこうかなと思ってさ」
「ザックス王子以外の男なんてその辺に落ちている石ころくらいにしか思ってないわよ」
僕の質問にコロネは完全なる無の表情で答えた。
あれ? 昨日コロネはロイド王子にドキドキしてたよね? 何? つまりコロネは石ころにドキドキしたって言うの?
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