第223話 一度部屋に戻ろうか
庭を歩きまわること1時間くらい経った。
「全然みつからない......広すぎるよ......この庭......」
さすがに長時間歩きまわったので疲れが出てきた。
「アイネチャン......アイネチャン......」
どこからか僕を呼ぶ声が聞こえる。この声はまさか!?
「エリシアさ......」
「アイネチャン......ロイドチャントケッコン!」
木にとまっているオウムがしゃべっているだけだった......
「オウムかよ!! はぁ......疲れたし一旦部屋に戻って休もう......もしかしたらもう見つかってるかもしれないし」
僕はキョロキョロとあたりを見渡した。
「入口......入口......まったく! 入口を探すだけでも一苦労だよ! お! 人が居るぞ! あの人に聞いてみよう。すみませ......ん!?」
僕はすぐに口を押さえた。そして目の前の光景に目を疑ったのだった。そこに居たのはショートヘアーのブルマを着ている少女が居たのだ。
「え? あれ......もしかして、アイネ姫様? アイネ姫様ですよね?」
僕が声をかけてしまったので向こうも僕に気づいたようだ。
なんでここに居るの!? 1ヶ月前に会った人じゃなかったの!? いや......今はそんなことよりさっきのサブローさんの会話から判断するにこのブルマ少女はワールドオーナーの協力者の可能性がある! 気づかれないように注意しないと......
「う、うん。そうだけど......」
うろたえながら答える僕に対して、目の前のブルマ少女はニコニコしている。
「ふむふむ......噂どおりの美人ですね。ところでこんなところで何してたんですか?」
その質問をそのままバットで打ち返して質問したいんだけど? ここは王子の城なんだから部外者は立ち入っちゃいけないよね?
......と本能的に突っ込みを入れたかったがなんとか抑えた。
なぜかって? あまり関わリすぎると異世界転移者だってばれるからだよ!
「えっと、エリシアさんが行方不明になったから探しているんだよ」
「エリシア......ああ、ロイド殿下のお母様の!」
ブルマ少女は納得したような顔をした。
「それならあっちの方に居ましたよ」
ブルマ少女は僕の進行方向を指で示した。
「そっか! ありがとう。じゃ! 僕は急ぐからこれで!」
僕は足早にその場を立ち去ろうとする。
「ねぇ、アイネ姫様......この世界は楽しいですか?」
立ち去ろうとする僕の背中からブルマ少女は声をかけてきた。
「え? それはどういう?」
「ワールドオーナーに支配されたこの世界が楽しいですかという意味ですよ?」
このブルマ少女、まさか僕が異世界転移者だと気づいてる!?
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