第214話 サブローの日記
せっかく集めてくれたのだし本を読ませてもらおうかな。
僕は本棚にあった適当な本を取り出した。
「セレナちゃん、少し本を読んでもいいかな?」
「ええ、お兄様と2人きりでお読みくださいませ! さ、外野の皆さまお邪魔虫は退散しますわよ」
セレナちゃんはロイド王子以外を部屋から出そうと部屋の外に向かい押し出そうとした。
「え、ちょ......それじゃお見合いの様子が!」
コロネは部屋の中にとどまろうとしたがセレナちゃんの意外な力強さの前に部屋から追い出された。
「ははは......強引な娘だな......」
僕は呆れながら本を開いた。
「これは......日記? 書いた人はサブロー......誰だろ?」
僕は本に書かれていた名前を読み上げた。
「私の父」
いつの間にか僕の隣に移動したロイドが答えた。相変わらずの気配の無さだ......
「あれ......そう言えばロイド王子のお父さんに会ったことないんだけどお父さんは?」
「父は......もう――――――」
ロイドは目線を下に移した。
え? もしかしてこれ聞いちゃまずい話だったのかな。死ん......
「今は......あそこで......庭師をしています」
ロイドは窓の外を指差すとタオルを首に巻いたおじさんが庭の手入れをしていた。
......紛らわしい間を作るんじゃないよ!! 死んだのかと思ったじゃないか! 安心したけれど......まあいいや、せっかく手に取った本だし読んでみるか。
僕は本に目線を移してページをめくった。
「えぇっと......何々......『この本を読んで意味が分かるなら私の忠告を聞いて欲しい』?」
何だろう日記にしては不自然な書き出しだな。そして次のページに書かれていた言葉に驚きを隠せなかった。
――――――ワールドオーナーを探してはいけない。私たちはこの世界から出ようなどと考えてはいけない。
一体何なんだこの本は!?
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