第181話 限界を迎えたようだ
今までアリスに聞いた情報から僕はある結論にたどり着いた。
「だったら、この家にいる人皆に嘘封じの力で手当たり次第に聞いていけばいいんじゃない?」
僕は最もシンプルで確実な方法をアリスに提案した。
「ええ......それができればいいんですけど制約があって残念ながらできませんわ......はぁ」
制約? どういうことだろうか? それについて質問したいけれど、僕の膀胱も限界を迎えつつあるこの状況でこれ以上の話を続けることはできなかった。
「アリス......ちょっと急用を思い出したので失礼するよ」
「むむ! お姉様のその様子......さてはトイレに行きたいのですわね!」
アリスは僕に指を突き付けてみごと僕がトイレに行きたいのに気づいたようだ。
「うん、まあそういうことだからこの話は後で......」
「私も着いて行きますわ」
「いや......トイレは個室1つしかないから着いて来ても意味ないよ?」
そう。我が家にはトイレはたくさんあるが1ヶ所につき個室1つしかないのだ。まあ、使用人用のトイレは複数個室だけど。
「そこがいいのですわ! 見られて恥じらう乙女の姿を観察......ああ、何ともこの上なく素晴らしいですわ!」
おっと......僕の妹が変態であることを忘れていた。アスカのときと違って完全に変態的な目的でトイレに一緒に入る気だ。
「さあ! 行きますわよ! お姉様!」
「アリス様、そこまでです。ご令嬢としてはしたない行動は見過ごせません」
メイド長が後ろからアリスの右腕を掴んでいた。
「なっ! いつの間に後ろにいたんですの!?」
「ほんの5秒前です」
取りみだしたアリスの質問にメイド長は冷静に答えた。
5秒前というと......ちょうどアリスが変態的な発言をしていたあたりかな。
ついでに僕も冷静に5秒前を思い出していた。
「姫様、アリス様のことは私にお任せください」
「ありがとう、メイド長」
暴れてメイド長を振り払おうとしているアリスを横目に僕はトイレに向かうのだった。
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