第93話 メイドとしてのプライド
「なるほど噂通りということはあなたはメイドとしての仕事ができないにもかかわらず、うちのほうが劣っていると言った......と。そういうことですね?」
ああ、このニーナって子から感じる威圧感。当家のメイド長と近いものを感じるな。
「は、はは~......すみませんでした!! このウジ虫みたいな私めがあなた様にとんでもない失言をしてしましました」
アスカはその場に正座して土下座をするように何度も頭を下げて謝っていた。
どうやらメイドのプライドはあっても人としてのプライドは持ち合わせていないのかもしれない。
「あれ? もしかしてニーナ様じゃないですか? お久しぶりですね」
当家のメイドの1人が僕たちの様子を見て部屋に入ってきた。
「カタリナ、お久しぶりですね」
「覚えていてくれたのですね。ありがとうございます」
カタリナと呼ばれたメイドは嬉しそうにニコニコしていた。
「え? 知り合いなの?」
「はい。ニーナ様はメイド養成学校の校長をしていて名だたるエリートメイドを何人も世に出しているのですよ。実は私もそこの卒業生なのです」
「なるほど......いや、待って。じゃあこのニーナって子はいくつなの? どう見ても子供にしか見えないんだけど!?」
「はい。今年で10歳になるはずです」
この幼女メイド恐るべし......アスカが馬鹿にしていい相手じゃなかったね。
「しかし、ジーク殿下の婚約者のメイドが噂どおりとは......うちが直々にメイド養成3日コースで鍛えて差し上げましょうか?」
ニーナは少し笑いながら舌なめずりをした。
「えっと、つまりアスカにメイドの授業をしてくれるってこと? ......あと僕はジーク王子の婚約者じゃなくて婚約者候補だから、そのあたり間違えないでもらえるかな?」
「ひ、姫様! 3日コースはまずいですよ!! 断った方がいいと思いますよ!」
カタリナが必死になって僕にやめるよう提案した。
「え? なんで? 3日でアスカが1人前になるならいい話だと思うんだけど」
「それはですね。3日コースを受けると人として大事なものを失ってしまうからです」
うーん。ますます分からないぞ......3日コース一体どんなことするんだろうか。
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