第62話 見た目は子供、頭脳は大人

「ぼ、ぼかぁ、そんなつもりないのに......うわぁーん」

 チャーリーは泣き出してしまった。

「え、いや......すまない。じょ、冗談じゃないか......うん! そんなことするように見えないしな!」

 ガニアンは取り乱したようにチャーリーをなだめ......ん?

 ガニアンからちょうど死角になるところでブイサインしている。

 チャーリーは子供であることを武器にしつつ大人の対応で喧嘩にならないようにしたということか......

 まさに見た目は子供、頭脳は大人。すえ恐ろしい子供だ......

「ほら、お菓子......お菓子あげよう」

 ガニアンは取り乱したように慌ててテーブルの上に置いてあったお菓子をチャーリーに手渡す。

 チャーリーはあたかも流した涙を拭いているような演技をしてお菓子を受け取る。

「ガニアンお姉さん、ありがとう」

「とっても美味しいお菓子だからな! きっと元気が出るぞ! 足りなかったらもっとあげるから!」

 ガニアンはテーブルにあるお菓子を手当たり次第手にとってチャーリーに見せる。

「......というかそのお菓子はガニアンさんのものじゃなくてうちのなんだけど......まあいいけど」

 僕は哀れな目でガニアンを見ながら2人に聞こえないくらいの声で呟いた。

 それにしてもあの2人はいい感じじゃないかな?

「さて、お邪魔虫は退散するとしますか......」

 僕はテーブルに手を置いて立ち上がった。

「ご安心ください。姫様はお邪魔虫ではありませんよ」

「相変わらずのジャストタイミングだね......メイド長」

 はいはい......分ってますよ。ちゃんとお見合いしますよ。

 逃げられないのを悟って僕は再び椅子に座り直す。

「ぼかぁアイネ姫姉ちゃんと話しがしたいんだけど」

「いいぞ! 思う存分話してくれ!」

 チャーリーを止める様子も一切見せずガニアンはどうぞどうぞと言わんばかりの姿勢を取っている。

 どうやらもう完全に懐柔されたようだ。

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