第36話 洗濯対決
僕とアラン殿下のところに椅子が用意されたので座って、2人の様子をそこから見ることにした
「3回勝負で2回勝った方を採用としましょう。まずは洗濯をしなさい」
メイド長はそう言って同じくらい汚れた布巾を2枚、それにタライと洗濯板と洗剤を2人分持ってきた。
なるほどどちらがきれいになるかで勝負するということか。
「メイド長! 質問があります!」
「何ですか?」
アスカはメイド長に質問をした。勝負のきれいになったの判断基準とかを聞くのだろうか?
そりゃそうだよな。絶対勝ちたい勝負だもんね......
「この板は何でしょうか?」
予想斜め上の質問が返ってきた。というかメイドのくせに洗濯したことないのか!?
「はぁ......これは洗濯板と言って洗濯物をこれでこすって汚れを落とすのです」
「なるほど......分りました!」
もはやどちらが勝つかなど結果を見ずとも分かりそうだ。
アスカとナナリーはその布を受け取ると洗濯板を使って洗いだした。
しばらく洗った後にそれぞれ最後に洗剤を水で流し2人はその布巾を広げた。
ナナリーの洗った布は実にきれいに汚れが取れていた。さすがメイドさんだな。
一方、アスカの洗った布を見てみる。もはや元の形をとどめておらずボロボロになった布を見せつけられた。
「何ですかこれは?」
メイド長はそのボロボロの布を指さして言った。
「布巾です!」
自信満々にメイド長にアスカは答えた。布巾としての原型はないのに。
「姫様。これは文句なしにナナリーの勝ちでよろしいですね」
うん......僕に確認しなくても分かりきった結果が出てしまったね。
「うん。ナナリーの勝ちだね」
「やった! ありがとうございます。アイネ姫様!」
ナナリーは両手をグーにして喜んでいた。
3回勝負なのでこれでアスカは後がなくなったわけだ。
......というか3回勝負してもアスカが勝てる想像ができないけれど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます