第9話 しあわせなひと時
加奈さんに冷たすぎたな
謝らないと
それに加奈さんとは別れることは考えられない
大学の門で待つとしよう
優一さん
加奈さん
ここで待っていらっしゃると信じていました
昨日はごめんね
悲しくなって
冷たくしてしまって
いえ
私がいけないのです
いや、加奈さんは何も悪くないよ
お父様も・・・
でも、加奈さんとは別れられないんだ
私もです
決めました
家を出ます
でも、どこに住むんだ
今から探します
そう簡単に言っても見つからないよ
優一さんに会える所であれば
どこでもいいです
それじゃ、僕の家に住めばいいよ
小さなトタンの家だけど
母も優しいし楽しいと思う
本当ですか
ああ
じゃあ、そうしよう
はい
お母さん
今日から家族が増えたんだけどいいかな
瀬波加奈と申します
詳しいことは後で話すからさ
僕の恋人なんだ
一緒に生活していいよね
当たり前さ
優一もこんな奇麗で上品な方と
お付き合い出来てよかったね
ああ
ご迷惑おかけしますが
お母様、よろしくお願いします
お母様でなくてお母さんでいいよ
はい、お母さん
じゃあ、今日はご馳走しなければね
ご馳走だって言うけどなんかあるのか
そうね
我が家は決して裕福じゃないからね
お母さん、私が冷蔵庫を見てきていいですか
ああ、お願いできるかしら
お母さん、味噌と醤油があります
これで鍋のだしが作れますよ
ネギもありますし
鶏肉はないですけどいいですね
ああ、いいよ
具はないけどいいの
加奈さん
いえ
キャベツも少しありますよ
豆腐もありますよ
これを使いましょう
ありがとうね
ごめんなさい
あまり上手く作れませんけど
いいよ
気持ちがうれしいよ
できました
ほら
加奈さんに豆腐を取ってあげるよ
ありがとうございます
じゃあ
私は優一さんに一つだけある
椎茸を
でも、お母様に
いいのよ
優一にあげて
それから
さっきも言ったけど
お母さんでいいからね
はい
ありがとう
加奈さん
そういえば今日は人参が安かったから
買ってきたけど、冷蔵庫に入れるのを忘れていたよ
お母さん
それを入れましょう
でも、時間がかかるんじゃないかな
いえ
ゆっくりお話しをして食べたいです
温まりますし
そうだね
もう
人参はいいかな
どれどれ
真がまだかな
いえ、もう十分です
十分
温かくなりました
うれしいです
こんなに美味しい料理を食べれるとは
思っていませんでした
本当に美味しいですね
加奈さん
泣かなくていいよ
今日は三人でいっしょに寝よう
ああ、いいね
お願いします
加奈さん、こんな家でごめんね
あなた達はまだ結婚していないから
私の両脇に寝なさい
仕方ないなあ
母さん
優一さん
いつもお母さんの隣で寝ているのですか
ああ、狭いからな仕方ないんだよ
今日はもっと狭いけどいいかな
はい
お母さんの隣で一緒に寝るのは温かいですね
安心します
幸せです
これが本当のお母様だったら・・・
お母様といっしょに寝たいと思っていた頃がありました
小さい時から父と仲が悪くて
そうかい、いろいろあるからさ
悲しい思いをしたんだね
わかったから早く寝なさい
今日はゆっくり寝なさい
そうだよ
加奈さん
はい
お母さん、おやすみなさい
本当のお母さんと眠れるのが一番だよ
いえ、今が一番幸せです
そうかい
はい
翌日
母さん、また
ご飯に具を入れない味噌汁か
昨日の残りのおじやがありましたよ
そうだね
加奈さんそうしよう
はい
美味しいな
本当ね
このまま幸せが
ずっと続きますように
加奈さん何か言った
いえ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます