第57話 俺の出来るコト
時間なんてあっという間に過ぎていく。
今まで
たとえ端役でも
オーディションにはそこそこ受かり続けていた流れが
突然
ぷつり、
と切れたかのように
全く受からない日々が続いていた。
アニメやゲーム
いろいろな番組やコンテンツが増えていく中
仲の良い声優仲間は
どんどん世界を広げて
認知度を上げていくのに
俺は
どんどん引き離されて
蚊帳の外に追いやられていくように思えた。
それでも
たまに入るレギュラーアニメのアフレコや
朗読会
配信番組などで
表立った出演は少ないなりにも
食いつなげてはいた。
選ばれなかったコトを悔んでいても仕方がない。
今(仕事が)無いコトよりも
次(仕事が)有る時までに
芝居を続けていくために
芝居で生きていくために
何をしていくか
何が出来るのか
どう生きていくか
考えて
動いて
挫けても
へこたれても
何度でも
何度でも
切り替えて
次へ
またその先へ
とにかく
腐らず
休まず
挑み続けていくしかないんだ。
☆
あの子がいなくなってから
もう随分と時間がたったけれど
あの夢のような儚い時間と体験を
忘れるコトはなかった。
結局
あの子の正体も
全くわからないままだけれど
あの子に出会えたコトを
なかったコトには出来ないし
本当に僅かな時間だったけれど
あの子と一緒にいた時の俺を
・・・
あの時に沸き起こった色んな感情を
無くしてしまうのがイヤだった。
いつかまた
あの子に会いたい。
会えるって
信じていたい。
「俺の願い、届いているんだろ?」
いつかまた
カタチを変えて
俺は
ただただ
今ココで
ひたすら懸命に生きて
やっていくしかない
やっていくしかないんだ。
「よし・・・!」
両方の頬を両手でぴしゃん!と、叩いた。
「今日も気合入れていくか!」
そらをとべたひのこと honami*(ホナミアスタリスク) @_honami_
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。そらをとべたひのことの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます