第13話 わがままで強欲
毎日、SNSでのつぶやきをチェックしていた。
「コメントしてみたら、見つけてもらえたりするのかな・・・」
(いつもお手紙を出しているワタシです、って)
って、
なに?
見つけてもらえる?
大勢のファンの中の、ほんのすみっこにいる
出した手紙も
たくさんのファンレターに埋もれてしまって
読まれているかどうかもわからないのに?
仮に
見つけてもらえたとして
どうなの?
『読むたびに元気をもらえて、お手紙楽しみにしているんです』
なんて
お返事なんかをもらえたりして?
そこから
仲良しになれたりして?
え?
人気声優さんなのに??
自分とはまるで違う世界で活躍するヒトなのに?
とうてい交わるコトなんてありえないのが現実なのに?
・・・
(妄想がイタ過ぎて、不毛でしかない・・・)
どうしても
自分で自分を傷つけてしまう。
★
シアワセなキモチになっていても
苦しいキモチになっていても
自分の奥の奥の
深いトコロにある
ぎゅっ、と感じるトコロは
(性質は違っているんだろうけれど)
ぎゅっ、となってしまう。
「いつもシアワセのぎゅっ、でいられたらいいのに」
イタイ妄想をして、シアワセに浸っている。
それだけなら別に自由だと思うけれど
ファンレターで
言葉は丁寧で気遣っているようでも
実は
自分勝手なキモチを書き連ねているばかりで
強引に感謝を押し付けていただけかもしれない。
そういう手紙を
何度も何度も
出していたのかもしれない。
そうこうしてるうちに
熱が高まってきて
出来るコトなら
推しにとっても
自分が
たくさんのファンの中でも
『特別』になれたら
と、
願ってしまっている自分がいる。
ホント、
『わがままで強欲』
自分の奥の奥の
深いトコロにあるモノを
むき出しにされたら
それがキバをむくのかな・・・
それに従うままに、生きていたら
(きっと、シアワセになんかなれないよ・・・)
考えれば考えるほど
「なんだか、
★
泥の中でも可憐に咲く
あの世のモノかのようにキレイだけれど
自分の中に湧いてくる
このドロドロには
花が咲くことなんて
ないのかもしれない。
「なんで夢の中には出てきてくれないのかな」
せめて現実じゃない世界の中だけでも
いま望むシアワセだけを
感じていられたらいいのに。
ありえないコトも全部
実現しちゃえばいいのに。
そうやって
考えれば考えるほど、
「ホントに、
今まで出してきた手紙だって
読まれているかどうかもわからないのに
あるはずもない返事やSNSでの反応を
勝手に都合よく
いつも期待してしまうから
がっかりするんだ。
「どこまでも、わがままで強欲・・・」
もう、自分で自分を傷つけていても
痛みなんて感じない。
(そんな気がする)
いつまでも
ありえない現実になんて手を伸ばさない。
つかめもしないモノをつかみたいなんて思わない。
「一生交わるコトなんてない、別世界のヒトなんだから」
アタシのコトなんて
知らない
知るコトもない
知る必要も(きっと)ない。
それがあたり前の現実なんだ。
「お手紙を出してしまってごめんなさい。
どうか読まれずに捨てられていますように・・・」
誰も読むはずもない
フォロワーもいない
唯一のSNSのアカウントにつぶやく。
(そう、誰にも、あのヒトにも、読まれない、届かない・・・)
「もう手紙書くの、やめよう・・・」
眠い・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
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