荒んだ心を慰める

小春かぜね

第1話 我が家の王女様

 この物語はフィクションです。

 設定、登場する人物、団体及び名称は一切関係有りません。


 ……


 我が家の王女様むすめ心愛ここあ。自慢の王女様でもある。

 しかし残念ながら、まだ我が家の王子様はいない。

 近い内に出来ればと考えては居るが……今の我が家の経済状況やお妃様(妻)の考え、今の住まいの事とかを考えると、少し難しいのかも知れない……


 話はずれてしまったが、”ここあ”と言う名前だと、飲み物のココアとかペットの名前にも良く付けられているが『心から愛される、心から愛する』と言う意味での心愛ここあで有る。

 決して面白半分で、付けた名前では断じてない!


 心愛王女様と言うよりかは、まだおてんば王女様だが、これからの成長が楽しみでも有る。思春期など色々な問題も待ち受けているが……


 ☆


 学生カバンにアクセサリー等の付属品は校則で付けられないらしいが、実はアクセサリー系のマスコットを、心愛はカバンに付けたいらしい。

 本人曰く『手軽に集められるから!』が理由らしい。


 そのためか、最近はアミューズメントでも有る、ゲームセンターに行く回数も増えた。

 一昔前と比べて、華やかで安全性も凄く高まったし、従業員もしっかりしている所も多く成ったので、一人で行かせても良いかなと思う時が有るが、変な虫おとこや危険な事に巻き込まれて欲しくないので、親か友達と一緒以外の時は、行かせないようにしている。


 心愛の髪は、くせっ毛では無く綺麗な髪質だ。

 セミロングヘアーが好みらしく、普段の日常はそのままで過ごす事が多く、学校や料理をする時、出掛ける時は髪を纏めている。


 そして、どうでもいい話だが、俺(父)は天然パーマの髪質である。

 天然パーマは髪が伸びてくると全体的に髪がモコモコしてくる。

 まるで”わたあめ”みたいだ。この天然パーマの血を心愛が引き継がなくて、本当に良かったと感じる。


 もし、引き継いでしまったら、美容院代とか髪のセットが大変に成るだろう。

 魔女のメ○リー状態の髪質に成ると思う。(※)


(※)有名監督の長編アニメーションのヒロイン


 ☆


『只の自慢話かよ…』と感じる人も多いと思うが、実は心配が有る。

 娘にも、もうすぐ反抗期がやって来る。恐らく……


 今はまだ俺に対しては、嫌悪感は出て来ては無いが、心愛より3歳年下の妹の杏果ももかに対して最近、衝突する事も多く成って来て、杏果も反抗する事も覚えたらしく、姉妹喧嘩が増えて来ているらしい。


 俺に対しての嫌悪感が無いのは……まあ、これは、只単に俺が心愛と接する時間が少ないからだと思う。

 表面上は起きていないだけで、実際はもう始まって居るのかも知れない。そう思いたくないけど……


 ……

 …

 ・


「ふぅ…」


 考え事も一段落して息を吐く。

 仕事合間の休憩時間。長女の心愛の事を考えながら、外の自販機で買った缶コーヒーを飲みながら考えていた。


 今日の天気はやや曇り空で有るが、風もそう無くて、またその風もほんのり暖かい。


(そう言えば…、会社に来る途中、梅が咲いている家が有ったな)

(また、春がやってくるんだな~~)

(……今年も家族みんなで、お花見出来るかな?)


 昨日の夜……

 夫婦団らんの時間に妻から、最近の心愛の事で相談を受けたので、丁度良いと思い、色々思い出していた。


 しかし、その辺に関しては基本的には見守るしか無い。

 親が躾けたりレールを敷いても良いが、心愛自身の将来の事を思えば、自らの意思でレールを敷くしか無いのだ。

 親はあくまでサポートや、万が一の救援隊に回る物だと俺は考えている。

 

(俺も親には色々反抗したが、心愛はどう来るんだろう?)


 定番の『お父さんの下着は別に洗って!』とか、俺の顔を見ると何故か睨み付ける等の行為をしてくるのだろうか?

 それとも……想像も付かない事をしてくるのだろうか!?


(今の所は問題ないけど……)


「おっと、いけね。休憩時間終わっている!!」

「さて、もう少し頑張るか!」


 空に成った缶を、ゴミ箱に捨て仕事に戻る。

 俺は愛する家族達を思いながら、仕事に復帰するので有った。

 仕事場に戻る途中……暖かくて、何となく少し甘い風がふんわり抜ける。


『お仕事頑張ってね! お父さん!!』


「?」


 風の音だと思うが、愛する長女のそんな声が聞こえた気がした。

 

 ……


 おわり

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