岡塚汲広の日常
(いつもより10分早い)
(神様みたいなのって何だよ。しかし、ステファニアという女の子、コレもんでコレもんで可愛かったなぁ)
第三目線のナレーターは思った。
(おやじかテメェ。コレもんでコレもんでって、ジェスチャー交じりで。今日日オヤジでも使わん死語やぞ)
(惚れてまうやろぉ~~~!)
ナレーター
(ちょろい奴だな)
*
妄想を膨らませていたら丁度10分経っていた。
「おっ早ようっ。今日も元気してる?」
クラスメートの
「お早う坂本。今日も元気だね」
「私は元気が取り柄だからねー♪」
次美は
「お前、彼女いないからって想像力たくましいな」
「うっせぇ!」
「2次元嫁なのか?そうなのか?」
「ちゃんと立体だ!3Ⅾだ!夢の中だけだけど…」
(いい彼女作って見返してやる!)
ひとしきり騒いだらチャイムが鳴った。しんと静まり返って皆、席に着く。
「おっ早よー!よしよし今日もみんな行儀良いねぇ。朝のホームルーム始めるわよ♪」
今日の授業は全て終わり、放課後。
(とりあえず、教室に戻るか)
(頭痛がするー。何なのこれー)
(これってSFなんかに出てくるテレパスというヤツか?)
(テレパスって何よ?SFって何よ?)
(ステテベス!)
(ステファニアよ!)
(しかし、同じ机といすがいっぱい。ここってどういう施設なの?)
(「学校」っていうんだ。キラッ)
(ふーん)
ボケを透かされてしまった。自己評価は面倒になったので止めた。
(ステファニア、見えるのか?)
(うん。あんたが見ているものはね)
もやは慣れてきたのか徐々に回復に向かっている。考える余裕が出てきたところでハッと重大なことに気づいた。
(トイレから出たところでもやがかかってリンクしたんだよなぁ。それで視覚共有。もし、リンクが早かったら…)
(早かったら?)
(何だか先を聞くのが怖くなってきた。イヤな予感がする。もうこの話はお仕舞い)
(そ、そそ、それがいい)
(これって、必ずその瞬間がやって来るということなのではないか?しかもお互い…)
(へ?何の話?)
(べ、別に)
こうして迎えた初リンク。
(あの夢って本当の事だったんだぁ)
そして、学校を紹介すべく、動き回る
(へぇー。こんな巨大な建物ってあるんだ)
(普通だろ?こんなの)
(うちの国には無いよぉ。しかも勉強するため専用の施設でしょ?)
*
(ヤタ!ボッ・キュッ・ボンの女の子の裸を拝めるかも。しかも触覚も感じられるかもしれないしテンション上がるぅ~!♪)
(いや待てよ。あっちが見えるならこっちも見られる。恥ずかしッ!グロいとか言われたらどうしよう!)
あ、いや。でも。いや、でも。堂々巡りである。思春期男子というものは忙しい。しかもお付き合いも無しにあまり面識のない娘と触ったり触られたり…。
ひとしきり堂々巡りをすること1時間。本当に思春期男子というものは忙しい。すると、
(これって、まったく隠し事のできない、互いに全部をさらけ出すということではないのか?)
この問題の根本というものにやっと気が付いた
「これから寝たら、初めての逆方向リンクかなぁ。これは真剣に話さないとなぁ」
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