-118- 最終防衛ラインたる機体
新型機には内蔵武器が1つある。
胸に輝くエメラルドのような六角形の宝石は、女王アリ型の人型昆虫が持っていた赤い宝石を解析し、性能を強化しつつ複製したものだ。
扱えるエナジー量が大幅に上昇し、より出力の高いエナジー射撃を行える。
色に関しては複製する過程で機体カラーに合わせた変更を行った形だ。
もちろん、放つエナジーも鮮やかな緑色になっている!
そして、この武器は胸に入っている新型ジェネレーターに直結した武器になっている。
新型ジェネレーターにはなんとダンジョンコアの欠片が内蔵されている。
元々ダンジョンコアは莫大なエナジーを秘めていると言われていたけど、これまでそれを引き出して利用する技術は確立されていなかった。
しかし、今回手に入れた『黄金郷真球宮』のダンジョンコアは今まで回収されてきたコアよりも秘めているエナジーが大きく、何ならあふれ出る寸前……らしい。
技術的な話はよくわからないけど、他のコアよりも秘めているエナジーが膨大ゆえに、それを引っ張り出すのが容易になっていたらしい。
こうしてコアからエナジーを引き出す新型ジェネレーター『コア・ジェネレーター』は誕生した。
秘められているエナジーは半永久的に使える量とされている。
そのため、新型機は従来のDMDのような濃縮Dエナジーの補給を必要としない。
でも、一気に大量のエナジーを引き出せるわけじゃない。
内蔵されているエナジータンクをいっぱいにするだけのエナジーを引き出すのにも、それなりの時間を要する。
つまり、エナジータンクがすぐに空っぽになるような考えなしの戦い方は出来ない。
タンクのエナジーが完全に尽きれば、またコア・ジェネレーターがエナジーを生み出してくれるのを待たなければならない。
とはいえ、戦闘中でもエナジーが生み出され続けるというのはすごい!
上手くバランスを考えて戦えば、戦闘継続能力は爆発的に上昇する!
これぞまさに革命的な発明だ!
「さて、武装を1つ1つ装備していくわね」
ドックのロボットアームが稼働し、新型機に武器を持たせていく。
まず右手に装備されたのは黒い槍『オーガランスロッド』!
フルブラックオーガランスは素材となるブラックオーガの角が足りず細身の槍になっていたけど、今回の槍は太さを取り戻している。
でも、太さが戻った理由は素材が増えただけじゃない。
この槍の中にはある装置が内蔵されているんだ。
その名は『脳波分配装置』!
機体本体に搭載されている脳波受信装置から脳波を分けてもらい、槍に流し込むための装置となっている。
これにより感情が高ぶっていない状態でもある程度のオーラを発生させることが出来る!
ただし、本気の時のオーラに比べると力不足ではある。
でも、槍の周りに微量のオーラをまとわせて回転させることで、ドリルのような貫通力を生み出せることはテストでも証明済みだ。
使い方次第で微量のオーラでも火力を底上げすることが出来る。
ちなみにオーガランスロッドの『ロッド』は、まるで魔法のような存在であるオーラを自在に扱うことから『魔法の杖』をイメージしてつけてたりする。
続いて左腕に装備されたのは、腕を覆う
その名の通り竜の頭部を模した形になっているこの武器は、ジュエリーボックスの流れを汲む複合可変兵器で用途に合わせてその形を変える。
内部は機体本体と同じくドラゴンの骨で構成されており、外部も対Dエナジーコーティングが施されている。
これにより物理的な盾としても扱えるし、変形する都合上脆くなりがちな部分もカバー出来ている。
機能としてはジュエリーボックスの流れを受け継ぎ剣・銃・盾の3モードを持っている。
ドラゴン・ヘッド自体に小型のコア・ジェネレーターが内蔵されているので、すべてのモードの出力が従来の兵器より段違いに高い。
超高出力Dエナジーブレードを展開する竜の牙『ドラゴン・ファング』。
超高出力Dエナジーシールドを展開する竜の鱗『ドラゴン・スケイル』。
超高出力かつ超高圧縮のDエナジーを放つ竜の息吹『ドラゴン・ブレス』。
竜には竜をぶつけるんだと言わんばかりのネーミングだけど、実際これらは正面から竜種にぶつけても通用するくらいの高性能を目指している。
その証拠にドラゴン・ヘッドにも脳波分配装置が内蔵されているから、物理的な盾とDエナジーの盾に加えてオーラの盾まで使うことが出来る。
結果として、この武器1つで並のDMDを生産するよりもお金がかかってるらしいけど……こればっかりはケチるわけにもいかない。
このDMDは人類の最終防衛ラインたる機体だと言われている。
今現在確認されている中で最も高いダンジョン・レベルは100で、その100のダンジョンを抹消出来るのは私しかいない。
そんな私が使う機体を半端にしてはいけないと、みんな知恵とお金を出し合って最高のDMDを作ってくれたんだ。
流石の私もプレッシャー感じちゃうけど、同時にこんなすごい機体を使えるんだというワクワク感もある。
このワクワク感……大事にしないとね。
さて、この両手の装備が新型機の主力武器になる。
これだけで十分戦えそうな気がするけど、深層ダンジョンの戦いは厳しくて長い。
それをより円滑に潜り抜けていくためのサブ武器たちも忘れてはならない存在だ。
背中や腰に装備されていくサブ武器たちを眺めつつ私は思った。
これだけの武器、使いこなせるのかな?
……いや、使いこなしてみせる!
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