第4話

半年とかからず、流花はいっぱしの人気YouTuberの仲間入りを果たした



YouTubeに費やす時間が増えた



しかし、一定のところに差し掛かった時、同時に比例してまた自傷や心中をほのめかす言動が増えた



嫌ではないがストレスにもなっていたようだった



元々、本質は社交的でない彼女がネットの向こうや、知らない人間と一緒に撮影


ストレスへの刺激を促してしまったのだろう



一瞬映ってしまった手首


中にはもちろんいるアンチはそれを見逃さなかった




なんか闇っぽい感じしてたけど今回のチャンネルで確信、手首見ろよ信者共



それは一瞬で広がっていった



幸い本人はコメントや批判など一切興味が無く見ないので(僕が代わりに対応している)

流花が知るには時間がまだある






そんな時間は無かった



クラスの女子が学校で本人に伝えていた


本当に心配する子もいれば、腹の中ではそのアンチと同じ思いの子、翌日はちょっとした騒ぎとなった


苛立ちを隠しきれない流花


ヤバいと思い駆け寄る前にその輪に颯爽と東中野が飛び込んだ



「流花ちゃん捻ったとこあれからどう?」


「捻った?」

流れは東中野へと移る


「先週の休みに未来と3人でボーリング行った時に流花ちゃん手首ちょっと変に捻っちゃって。普段スポーツやらないし、念の為しばらく湿布貼って固定してたけど、昨日未来からまだちょっと痛いって言ってるっ聞いたからどんな感じかなって思って。つーかなに?それがどうかした?」



アカデミー賞バリの演技ですっとぼける東中野


なんだ、と言わんばかりに騒ぎは解散


本気で心配してた子は、あんまり痛かったら病院行ってレントゲン撮った方がいいよと声をかけ


アンチは興ざめしたという様子でしれっとその場を去っていった






「助かったよ」


「んーでもこれもそんな交わせるもんじゃねえぞ



案の定、下火は広がった


それでも流花のファンの擁護の壁のおかげか、瞬く間に炎上し叩かれるまではいかなかった


どうしたものか



「ねーねー未来、来週のチャンネル出てよ」



炎上のネタをみずから振ってくる流花



「いや、知ってるやつは知ってるしあれだけど、タイミングが、、」



「いいのー!やならもうやんない。」



そう言われてしまっては身も蓋もない



「どうなんのこれ?」



「いや、分からんよそんなの俺に聞かれても流石に。。なんか考えがあるのか、、、ないよな?」


東中野にも読めない行動



クラスの連中は流花に彼氏がいる、僕がいることを知ってるし、一部のアンチがそれを書き込みしてるが肝心の確証を得る部分は晒されなかった為曖昧になってたが、これは確実に誰もが確信に変わるだろう



何考えるんだよ流花




下手に問い詰めても、機嫌を損ねて投げ出されては困るし、渋々了承した



「死ぬなよ」


生暖かい目をした東中野が微妙に優しいトーンで肩を叩く



助けれてくれよぉ


「こればっかりは全くわからん、目的は本人のみぞ知ることだ。」



それから次回のチャンネルまで下手に触れずに過ごした


前回の騒動がストレスになったのか


いつもに増して自傷、僕への被害が久しぶりに増した





「無理心中チャンネル生配信」



ぽつりと流花が呟いた



え?


全く穏やかでないその一言


僕には何がなんだかわからなかった

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