第33話 プライベートビーチでの夜

「いやー……あそんだね!」


夕方になり、海から別荘に返ってきたのち各々部屋に付いている風呂に入り、着替えてからリビングに集まった。


「いや楽しかったね」

「ええ、ちょっとはしゃぎすぎてしまったのだけれども……」

「まぁせっかくの夏休みだし良いんじゃない……イタッ」


各々今日の感傷にひったっていた所に痛がる声が入り、「ふふっ」と笑いが起こる。

痛がる声を上げたのは俺だ。原因は日焼けだ。


「ほらみろー日焼け止め塗らなかったから……」

「分かってるよ……イタッ」

「ふふっ」


そう原因は結局北条さんに日焼け止めを塗ってあげることになり、同年代の女の子の背中を触る、それもとても美少女で、背中がめっちゃすべすべで、何より横乳がっ……!


と言う感じで頭がパンクして塗り終えた瞬間頭を冷やすため、すぐに海に入ったのだが……涼と競争したり、水をみんなで掛け合ったり、浮き輪でプカプカ浮いたり、また北条さんのトップが取れたり……って言うのはなかったが、楽しすぎて結局日焼け止めを塗る暇もなく遊び続けてしまった。


「そろそろ、お腹も空いてきた頃なのでご飯にしませんか?」


手のひらを合わせて叩きながら提案する北条さんに皆賛成し、予定通りバーベキューするため準備に向かう。


「じゃあ、俺と涼が外で準備してくるから、北条さんと千秋さんは食材お願いしても良い?……イタッ」

「ふふっ……おっけー。任してよ」


すごくたびに服がずれて痛む。

しかし、痛みに耐えながらも机や炭を準備する。ちょうど準備し終えたタイミングで、北条さんと千秋さんが肉や切った野菜を持ってきたので、さっそく焼き始める。


よくよく考えたら北条家っていつもシェフが作ってくれているから、北条さん料理作ったことないんじゃない?

そう思って北条さんに聞いてみると「もちろんないわよ」と返ってきた。


「え、二人は料理したことある?」


同じ財閥とその分家筋である涼と千秋に聞く。


「俺はないけど、北条さんほどの箱入りではないからバーベキューはしたことあるよ」

「うん、私もだいたい同じだね」


確かに前に南雲家に行った時は財閥にしては庶民よりではあった。

その分敷地がめっちゃ広かったが……。


「あ、もうお肉焼けてない?」

「ほんとだ。早く取り分けよう」


その後俺たちはバーベキューを楽しみ、片付けを終えたのちリビングにあるL字型の大きなソファーに座って少し雑談をしていた。


「後三週間弱で二学期が始まるな」

「そうだね。でも二学期には文化祭があるよ!」


涼の言葉に隣に座ってイチャイチャしている千秋が答える。そう龍皇学園では毎年10月の下旬に文化祭があるのだ。


「俺今回が初めてなんだけどいつもどんなことやってるんだ?」


中学校は公立に通っていたため、文化祭は部活動ごとの発表とか歌のコンクールぐらいしかなかった。しかし、私立は自由度が高いって聞いていたため少し楽しみにしている。


「そうね……まずはクラスごとに展示があって、お化け屋敷やゲームセンターなんかは定番になっているわね。あと飲食店をしたりできるわ。もちろん料金も取ってね。何をやるかは夏休みが明けてすぐに決めると思うわ。一番重要なのは生徒主体で運営をして先生がたは基本ノータッチだっていう点かしら」

「へぇ……けっこう違うんだな。準備っていつから始まるんだ?俺らも手伝いしなきゃいけないよね」


北条さんの話を聞いた感じ思った数倍規模が大きく驚いた。そしてそんな文化祭の準備はさぞかし時間がかかるんだろうなと思っていつから始まるかを聞く。

しかも俺と北条さんは生徒会に入っている。実際夏休みもちょくちょく学校に行って仕事をしていた。だから文化祭も運営に回るんだろうと思っていたのだが……


「文化祭の運営っていう点では去年の文化祭終わった次の日から運営委員会が立ち上がって活動しているわ。生徒会は文化祭には全く関わらないわ。クラスごとの展示は10月の最後の土日の本番の前日、金曜日が準備日として丸一日、授業をなくして与えられているわ」

「なるほど、本格的だな」

「そりゃね、一年の中で一番って言っていいほど大きなイベントだからね。それに文化祭は一般公開だから学校側も警備を厳重にしたりしてるんだよ」


中学のころの文化祭との差に驚いていると千秋さんが説明してくれる。ちなみに千秋さんと涼は風紀委員だが、風紀委員会は文化祭でも見回りをするらしい……まぁただ遊び回るだけらしいけど……


「今年は何をやるのかな」

「そうだね……やっぱり飲食系は楽しそうだよね。高校になったし……おっともうこんな時間だ」


みんなが説明してくれたことによりイメージが沸き、文化祭が楽しみになってきたため思わず言葉にでる。

それに同意した涼がふと時計を見るともうすっかり夜も老けていた。


「そろそろ……寝ましょうか」

「そうね」

「そうだな」

「うん」


北条さんの提案にみんなうなずき、階段を上りそれぞれの自室まで戻る。

そして階段に近い千秋が最初にその次に涼が、それぞれの部屋の前をみんなで通ったときに「おやすみ」と言ってから入って行く。

そして残るは俺と北条さんもいつも北条家にいつときのように「おやすみ」と軽く手を振りながら挨拶をして部屋に戻るのだった。

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