第30話 一学期末

お久しぶりです。今日からこのお話を完結まで毎日投稿しようと思います。どうかお付き合いいただけたら幸いです。


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「なぁ修、今回は何位だった?」


そう聞いてきた人は俺の前の席に座る親友の南雲涼。今日は一学期の終業式。一学期の成績と共に期末試験の結果も返ってきた帰りのホームルームが終わり、山崎先生が教室から出て行ったと同時に、前に座る涼が椅子の背もたれに腕を乗っけて体を少し横に向けた姿勢で後ろを向き、俺に話かけてきた。


「108位だったよ……涼は?」

「俺は19位だったな」


流石、南雲家の御曹司だぜ。龍皇学園は一学年300人程度。俺も今回は、前回の中間試験よりも順位を伸ばしたのだが……。


「……流石だな」

「まぁね〜。でも修も高校から入ってもうすぐ二桁は十分すごいよ!」


褒めたらドヤ顔で返してきた上にフォローされてしまった……。チッ!これだから天才は。


「北条さんと千秋はどうだった?」


南雲が隣で俺たちと同じように前後で向かい合って話している北条さんと千秋さんに試験がどうだったか聞いた。


「うん?前回とあんまり変わらないかな?」

「私もよ」


二人とも流石だな。普段あまり勉強してなさそうな涼&千秋ペアも普通に成績いいのはやっぱり良いところの子息だからかな。

てか北条さんまた1位て事か……さすがだな。


「ねぇ、陽葵ちゃんとも話してたんだけど、夏休み4人で遊びに行かない?」


3人の頭の良さに関心していたら、千秋さんからのお誘いが来た。


「それは泊まりってこと?」


涼が聞き返した。


「具体的にはまだ決めてないけど……海とかキャンプとか行きたくない?」

「確かに行きたいけど……北条さんは泊まりとか大丈夫なの?」


涼が千秋さんの言葉から生まれた疑問を北条さんに聞く。

それは確かに俺も思っていた。


涼もいくら最近は一緒に遊んだりしているとは言え、北条さんは中学時代、誰にも心を開かず馴れ合わないで有名だったため、泊まりがけの旅行まで一緒に来てくれるのかということに不安と疑問を抱いていたのだろう。


俺もそう考え、視線をチラッと北条さんのほうに向ける。


「ええ、私は行きたいと思っているわ。ただ行っていいかはお父様に聞いてみないといけないのだけど……」


どうやら本当に行くつもりらしい。


その言葉を聞いた千秋は嬉しそうに微笑み、涼は驚愕の顔を浮かべた。


「……で、如月くんはどうなのかしら?」


北条さんが俺に聞いてきた。しかも意味ありげな微笑みを添えて……。

これは試してきたな。同居がバレないような答え方しないと。


「あー、俺は予定が合えば行きたいな」


ふん、これで例え陽葵が行かないとなっても予定があって行けなくなったと断れるぞ。

我ながら完璧な返しに満足していると千秋さんが「予定を組むために、4人のチャットグループをつくろう!」と言って、カバンからスマホを取り出す。


俺たちもスマホを出して千秋さんが作ってくれたチャットグループによろしくと各々書き込んだ。


「じゃあ……そろそろ帰るか?」


そう俺が提案すると、みんなも同意し後日話し合おうと言うことを約束し、この日は解散となった。


涼&千秋のバカップルが先に帰ると、俺と北条さんも迎えの車に向かう。


「……行くんだ、泊まり。……大丈夫?」


最近、大分心を開いてくれたとは言え流石に泊まりがけは大丈夫なのか疑問に思い、カバンを前で両手で持ち、俺の隣を歩く北条さんに問う。


「ええ……南雲くんと南川さんはもうお友達ですから」

「そっか……おっと着いたか」


気付いたらもう車の前まで来ていた。


「それにあなたが一緒だから……」

「え、なんか言った?」

「うん?なんもないわよ」


車に乗るために反対側に回ろうとすると、北条さんがボソッと何か呟いた。

俺に対して何か言ったのかと思い、聞き返すも心あたりがなさそうに返していた。


聞き間違いだったのかと一人で納得し、車に乗り込む。その時北条さんの口角が微かに上がっていたのだった。

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