第29話 北条さんと勉強
北条さんと遊園地に行った数日後の夜、俺は自室で勉強していた。もうすぐ期末テストなのだ。龍皇学園は7月の2週目くらいにもう期末テストをして、その後は自宅学習、実質夏休みに入る。
「ふー」
俺は右手に持っていたペンを一旦机に置き大きく伸びをする。
実は勉強に行き詰まっている。問題が難しすぎる。課題として出され、試験対策としても問題集を解いているのだが、ほとんど解けない。その上解説はあるのだが難しくて何言っていくか全くわからない。
時計を見ると午後9時。まだ期末テストまでもう少しあると言っても寝るにしては勿体無いし、早すぎる。でもこのまま問題集とにらめっこしても進みそうにないため、一旦気分転換に外に出ようと考えた。
廊下をぶらぶら歩いていると、前に翔子さんや北条さんと話したバルコニーに人がいることに気がついた。
「……誰だ」
その正体を確かめるためにバルコニーへと向かう。バルコニーにいたのは北条さんだった。
北条さんはこの前話した時と違って半袖の白いお姫様系?のネグリジェをきていた。
北条さんは前と同じようにバルコニーの手すりに手を置き、庭を眺めていた。そして俺は北条さんの横に行く。
「何してるの?」
そう話しかけると、俺がいたことに少し驚いきながらも「気分転換に庭を眺めているだけよ」と答えてくれた。
「あなたは何しているの?」
「少し勉強に行き詰って、同じく気分転換でぶらぶら歩いていたら北条さんが見えたから」
「ふーん」
「北条さんは勉強の方はどうなの?」
「私?私は順調よ」
「へーすごいな。さすがだね」
確か中間テストでは学年一位だったな。すごいな。
そう思っていると北条さんがこちらを見ていた。
「どうした?」
「よかったら……私が教えてあげるわよ?」
「……え?」
なぜか北条さんに勉強を教えてもらうことになった。「荷物を取ってくるから、先に部屋に戻ってて」と言われて戻ってきたのだが、まさか俺の部屋で勉強するのか?
部屋はほぼ毎日メイドさんが掃除してくれるから慌てて掃除したりする必要はないのだが女の子と二人っきりで部屋にいるって考えると緊張してくる。
“コンコン”
意外と早く来た北条さんを部屋に招き入れ、椅子に座らせ、俺も座る。
俺の部屋は、ベットの下側の壁に机がくっついているデスクカウンターという形になっているため、二人で座ると隣に座ることになる。
女の子と隣に座る機会なんてそんなに無かったからとても恥ずかしく、勉強に集中できないかもと思っていたが……
「この問題はグラフを自分で書いた方がわかりやすいわよ」
「なるほど……」
「そうそう。で、こっちはこう場合分けすると簡単よ」
「……本当だ」
めっちゃ分かりやすくて、めっちゃ集中できた。
そしてキリのいい所までやって一旦時計を見ると11時近くになっていた。
「もう、こんな時間だ。もう終わりにしよう」
「あら、そうね。終わりにしましょう。また明日ね」
「…え?」
明日?また一緒にやってくれるの?
「嫌だった?」
「あ、いえ、是非お願いします」
「そ、じゃあおやすみ」
そう言って北条さんは荷物をまとめて俺の部屋を出ていった。
マジか……
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