第13話 高校生活初日
入学式の翌日、初めての授業がある日の朝、俺たちはいつも通り朝食を食べていた。
「修君、陽葵ちょっと良いかな……あ、食べたままでいいよ」
克人さんから話があると言われたため、ご飯を食べる手を止めて話を聞こうとすると、克人さんは食べながらでいいと制止した。
そして俺が食べ始めるのを確認してから言った。
「実は仕事で翔子と一緒に出張しなきゃ行けなくて、短くて二週間、長くて一ヶ月ほど帰ってこれないだ。だから修君、陽葵をよろしくね」
「あ、はい」
自分に話が振られるとは思っていなかったため、急に話が振られ思わずうなずいてしまったが、よろしくと言われても家事は全部メイドさんたちがやってくれるので何にもすることがない。
まぁ仲良くしとけってことだろう。
朝ごはんを食べ終わり俺と北条さんは車に乗って学校に向かった。
昨日と違って俺と陽葵と梓さんだけだ(後運転手さん)。
俺から車に乗る事になったのだがどこに座ればいいのか迷っていたら梓さんから「昨日と同じところにお座り下さい」と言われたので昨日と同じ後ろの席に座ったら北条さんも後ろにきて隣に座った。まぁ結構間は空いているが。
道中は特に何事もなく学校につき、教室に向かう。
「あ、修、北条さんおはよう」
「おう、涼おはよう」
「おはようございます」
既に席についていた涼が俺の姿を見つけ挨拶してきた。
「あ、修くん、陽葵ちゃん。おっは〜♪」
「あ、千秋さん。おはよう」
「おはようございます」
「もう修君、千秋でいいって」
あ、そうだったな。うーん、でもなんか言いにくいんだよね。
「いやぁ、女子を呼び捨てはハードルが高くて……」
「そう?まぁ好きに呼んでよ」
“ガラガラ〜”
お互い挨拶を済ませ席に着くと前の扉が開き、山崎先生が入ってきた。
「さて、朝のホームルーム始めるぞ」
そう言ってみんなで挨拶をして俺の高校生活1日目が始まるのだった。
ホームルームが終わり、昨日配られた時間割通り授業が始まった。
さすが名門校というべきか。まず先生の自己紹介があり、ざっと授業の説明をした後早速内容に入っていった。。
そんな初日からガッツリ入った授業を4時限(1時限50分)受け、昼食の時間になった。
「なぁ、修。俺たちと一緒にカフェテリアで食べないか」
涼が千秋さんのことを指差しながらカフェテリア(食堂のこと)で食べようと誘ってくる。
「あ、いいよ。」
「おっけ♪あ、陽葵さんも一緒にどお?」
涼の申し出に了承すると千秋さんが北条さんも一緒に食べないかと誘う。
あ、誘っちゃう。いや北条さんにいて欲しくないっていうんじゃなくて、涼と千秋さんはいちゃつきそうだからな。授業中もいちゃついてたし。そうすると俺と北条さんが気まずいじゃんか。あ、一人の方が気まずいか。
なんてことを思っていると。北条さんが少し微笑みながら言った
「ではお言葉に甘えて」
「やった♪あ、ふたりはお弁当?」
「いえ、学食ですよ」
千秋さんの問いに北条さんが返すのを聞いて朝、車の中で梓さんに「学食で食べて下さい」って言われたのを思い出す。
「じゃあ行こっか」
そう言って歩き出した涼の横に千秋さんが並びその後ろに北条さんと並んでついていく。
ワォ。すごいな。
俺たちはカフェテリアについたんだが、デカすぎる。しかもメニューを見てみると、フレンチ、イタリアン、中華、和食などなど、学校の食堂って規模じゃねーぞ。
そして俺はメニューをみて疑問に思ったことを涼に聞いてみた。
「あれ、これ値段書いてなくね」
「あー、それ全品300円だよ」
マジで!やっす!サーロインステーキとかも300円?安すぎん。貧乏な庶民の俺にとってはマジで嬉しい。いや克人さんからお小遣いもらってるだろって、まぁ確かに貰ってはいるんだが、克人さんから貰ったのはできるだけ手を付けずに、父さんが残したのを使っているんだ。克人さんから貰ったお金は卒業するときに返すよ、ちゃんと。今返しても受け取ってもらえなそうだし。
まぁそんなことは置いといて食べるとするか。
俺が買ったのはサーロインステーキ。メニューを見た時最初に目に止まったのだ。
あ〜ステーキを食べるなんて何年ぶりだろう。もう3年以上食べていない気がする。しかもA5ランクの松坂牛らしい。なんて贅沢なんだ。しかもこれが学食だぞ。これだけでもこの学校にきた甲斐があったぜ。
ちなみに北条さんは金目鯛(一人分なので少々小さめ)一匹丸ごとと貝をふんだんに使ったアクアパッツァ、涼は、いや涼と千秋さん否、リア充どもは二人前のこれまた貝をふんだんに使ったパエリヤを注文した。
そして俺たちは涼と千秋さんが二人だけの世界に入りやがるという出来事が起きながらも、世間話を交ながらおいしくいただいた。
昼飯を食べた後はギリギリまでおしゃべりした後教室に戻り午後の授業を受けた。
そして帰りのホームルームを終えた後今日は俺から誘ってみようと言うことで、調子に乗ってちょうどノートなどをしまい終えた(教科書は基本学校のロッカーにしまう)北条さんのカバンを半ば奪うような形になってしまったが手に取り、格好をつけて肩に担ぎ「帰ろうぜ」と言った。
北条さんは突然カバンを奪われて驚いていたがすぐに少しからかうような顔をしてカウンターを返してきた。
「帰るって言っても車がどこに止まっているか知ってるの」
「あ……」
肝心な車がどこに止まっているかを知ら無かった事に気付き呆けてしまった。そんな俺の顔を見て北条さんは「クスッ」と笑った。
「ほら行くわよ。カバンは格好つけた罰として持ってなさい」
「はい」
なんか最近からかわれるようになった気が……
こうして俺の高校生活初日は幕を閉じた。
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