第3話 北条家到着
いろいろあって北条家に行くことになった俺は、親が残して行った自分用のキャリーケースに着替えとその他の必要な物を入れた。
歯ブラシとかタオルとかは北条さんが用意してくれるらしい。
「準備終わったかな。では行こうか」
そう言ってアパートの外に歩き出した北条さんの後についていくと、外には黒い高級車が止まっていた。もちろん運転手つきで。
「さあ、乗ってくれ」
そう促されて車に乗ると、続いて北条さんも乗って運転手に「出してくれ」と一言かけると車はゆっくりと発進した。
車に揺られて小一時間したときには某有名な高級住宅街に入っていて、それから五分もしないうちに車は大きなお屋敷の門を潜った。
いやお屋敷と言うよりも洋館といた方が当てはまるだろう。そんな建物に近づき車が止まると、家の中から数人いわゆるメイドさんと執事が出てきて、車の扉を開けてくれた。
「おかえりなさいませ。旦那様」
「うむ、この子は今日からしばらくこの屋敷に暮らす如月修君だ。準備してくれ」
「は、かしこまりました」
北条さんが執事の人とやりとりし終えたところで北条さんが僕の方を向いて言った。
「さて修君、ここが今日から君が住むところだ。何かあれば遠慮なく使用人に言ってくれ」
そんなことを言ってきたときに家の扉が開き、中から
「あなた、いつまでも外で長話してないで、中に入ってくださいな。まだまだ外は寒いんですから」
と言う女性の声がした。声がした方向を見てみるとそこには30代くらい銀髪の綺麗な女性が立っていた。
多分この人が北条さんの奥さんなんだろうな。そんなことを考えていると俺の方を向いてきた。
「あなたが如月修君?はじめまして、克人の妻の北条
「は、はい。しばらくの間お世話になります。自分のことは修って呼んでください」
優しそうな人でよかった。いきなり男と自分の娘が同棲するって言ったら嫌な顔をするかもしれないし。まぁこんな広い屋敷でそもそもその子に会えるかわからない。
そのくらいのレベルでまじで広い。
「こら翔子。中に入ってと言ったのは君じゃないか。ほら二人とも中に入って。あ、後私のことも克人って呼んでくれ。」
克人さんに促されて中に入ると両側にはメイドさんがずらりといた。
北条家の玄関はラノベとかでよく見る玄関のある間に二階えと上がる階段があり、上から玄関を見下ろせる構造になっている。
「「「「おかえりなさいませ。旦那様」」」」
こちらもまるでラノベの中の異世界の貴族で見るような挨拶をしてきて驚いていると他のメイドさんとは格が一つ違う人が出てきて、克人さんと話し出した。
話終えたのか北条さんとその人が近づいてきた。
「修君。この人は北野梓。この家のメイド長をやっている」
「修様。
「はい、よろしくお願いします」
「梓は娘の世話もしているから、娘と話すときも都合がいいだろう」
そんな会話をしていると、ふと視線を感じて二階をみると翔子さんと同じ銀髪の俺と同い年ぐらいの女の子がこちらを見下ろしていた。
多分あの子が北条さんの娘さんなんだろう。
とても可愛くて同じ学校にいたなら全学年からモテるであろう美少女だが、一つ気になるとすれば −−表情が死んでいること。
するとその女の子は興味なさそうに俺の顔を一瞥した後にどこかに歩いて行った。
「娘の
「えぇ、ずっとそっけない態度でねぇ。私たちもどうすればいいのか困っていたのよ。だからあなたが話し相手になってくれて嬉しいわ」
あまり人生経験が長くない俺でもわかるがあれは人を信じていない目だった。やはり予想通り昔友達とかに裏切られたんだろう。翔子さんからも期待されているから、何とかしてあげたいな。
これからどうすればいいか考えていると北条さんが梓さんに何か言い、梓さんは僕たちの方に一礼した後どこかに歩いて行った。
「まぁ、娘と話すのは後にして、修君。夕飯まだだったよね」
そういえば夕飯を買いに行こうとしたときに克人さんが来て、結局食べないまま来てたな。
いろいろ起き過ぎてすっかり忘れてた。時刻はもう7時半を過ぎている。確かにもうお腹が空いてきた。
「はい、まだですね」
「うむ、少し遅いが夕飯を用意させたから食堂に行こうか。陽葵を呼んで来てくれ」
俺がまだ食べていないことを確認した北条さんは、近くのメイドに娘さんを呼びにいかせた。
どうやら北条さん達もまだ食べていないようだ。
と言うか、娘さん、同年代の女の子を名前で呼ぶのは躊躇われるから北条さんって呼ぶか。北条さんも一緒に食べると言うことか。何だか緊張してきたな。
そんなことを思いながら歩き出した克人さんの後を翔子さんと一緒について行った。
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