姉と妹の心配(李梨沙視点)
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「……んっ」
カーテンの隙間から差し込む陽光で目が覚める。
眩しいな、もう朝か……
寝返りをすると、まだスースーと小さめな寝息を立てている大地くんがいた。
……うっわぁ……可愛い
いや、流石に可愛いがすぎるでしょ。これが世にいう恋をすると盲目になると言うものなのだろうか。少しよだれを垂らしているところさえも愛嬌があって可愛く感じる。……おかしくはないよね?
もぞもぞと動きながら、枕元においてあった携帯を確認する。画面に映ったのは6時23分の時刻だけではなく、一件のメッセージも来ていた。
「……あー、やば」
メッセージの内容を確認すると、思わず声が漏れてしまった。妹の梨花から、8時ごろに家に向かうといった内容だった。
あー、しまった。エリーさんに気を取られすぎて予定が頭からすっかり抜け落ちていた。
もともと妹は心配症で、アイドル時代もしょっちゅう訪ねてきてはいたが、このアパートに引っ越してからというもの、その頻度は上がり今では週に最低でも一度は必ず来るようになっていた。
確かにここはセキュリティもいいとはいえないから心配なのはわかるし、心配してくれるのはとってもありがたいと思うのだけれど、流石に来る頻度多いよね!?実家からここまで片道1時間以上かかるんだよ!?お小遣いで来てるって言われたら申し訳ないじゃん!
それにだよ!何故か来る度に第一声は、大地くんは来ていないかって尋ねられるし、いないって答えたら決まって本当かって疑われるし……もしかして、私が梨花と大地くんを会わせないようにしていると思われてる?私じゃなくて大地くんに会いに来てる!?と、この頃の私は考えているわけですよ。
んー何でだ?考えても考えるだ梨花が大地くんにいつ惚れたのか見当もつかない。いや、要素は確かにたくさんあるよ?でも私の記憶では二人が会ったのって夜ご飯を食べに来てもらった時だけだよね?どこで恋したの!?まさか私の知らないところで!?
って考えててもしょうがない。大地くんは……ぐっすり寝てるし、起こすのも悪い。申し訳ないけどそのまま帰るか……いや、エリーさんもいる中でこのまま帰っては、なんか、いやだ。よし、朝ごはんを作って帰ろう。千里の道も一歩から。きっとこれで大地くんはメロメロだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「お邪魔しまーす」
「え、えぇ、どうぞ」
そう言って、時間通りに来た梨花は私の部屋へとあがる。私は大地くんたちの朝ごはんを作り、自分の部屋へ戻るといっそいで部屋を片付けて梨花を迎える準備をギリギリだが間に合わせた。本当に疲れた。
「……お姉ちゃん。今日は、あのクs…千堂さんとは予定ないん?」
「……えぇ、ないわよ。そんな頻繁に用事なんてあるわけないじゃない」
……きた、またこの質問だ。もうさすがに間違いない。
私の妹は、大地くんに恋している……!
梨花と私はこれまでずっと仲良くしてきた。それも、一度も喧嘩したことがないくらいに。
私は梨花が好きだし、きっと梨花もそうであると信じている。……今まで、梨花が欲しいといったものは必ず譲ったり、分けたりしてきた。
それは、お姉ちゃんである私の責務であり、何より、その時に見せる梨花の笑顔が私は好きだったからだ。
でも、今回だけは、私はお姉ちゃんではいられないと思う。それだけ彼への想いは強い……いや、彼の近くに来て、想いは日に日に強くなっている。もう、とうの昔に諦めることができない領域に入ってしまっているのだ。
だからこそ……
「ねぇ、梨花?」
「んー?どしたの、お姉ちゃん」
「……梨花って、大地くんのこと、どうおもってる?」
「……え?」
はっきりさせておきたい。
大切だからこそ、大好きだからこそ、梨花とはモヤモヤしたままは嫌だ。
その結果、大切な妹とライバルになることがあるかもだけど……それはしょうがないことだ。よく考えればあんな良い人好きにならない方がおかしいもん。だから、私は正々堂々戦って彼と結ばれる!誰が相手だろうと、私は、負けんよ……!
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