第6話
「この子がSランク冒険者のノアさんです。」
「園長のエレインですわ。よろしくお願いいたします。」
「ノアです。よろしくお願いいたします。」
「今日はどのようなご用件で?」
「レイラとライラの雇先にどうかなと思っているの。」
「まあ!二人一緒に。」
「そう。ギルドのすぐ近くだから、何かあったら私もフォローできるし、何よりこの町に3人しかいないSランク冒険者だから、収入も確実よ。」
「メイドってことなの?」
「はい。私が何も家事をできませんので、面倒を見てもらいたいんです。」
「じゃあ、二人を呼んできますね。」
「「失礼します。」」
園長さんに連れられて入ってきたのは……、二人の天使でした。
金髪、少し癖っ毛のショートで小柄、整った顔立ちに浮かべた笑顔はこの世のものとは思えません。
「さっ、採用します!」
「ピーッ!」
私は思わず立ち上がって叫んでいました。
「まあまあ、落ち着いて……。」
アカリさんに宥められました。
「ご挨拶しなさい。」
「こんにちわ、ライラです。」「レイラです。よろしくお願いします。」
「あっ、ノアです。よろしくお願いします。」
「こちらのノアさんが、二人を雇いたいとお申し出いただいているんですけどいかがかしら。」
「ふ、二人一緒でいいんですか?」
「もちろんです。住み込みでお願いします。部屋もありますし。」
「アカリお姉ちゃんの紹介なんですよね。」
「そうよ。二人にピッタリだと思うけどどうかな。変な男もいないし、断る理由はないんじゃないかしら。」
「「お願いします!」」
「えっ!ノアの家って……、ここだったの!」
「はい。あっ、結界を張ってあるので手をつないでください。」
「結界って……。」
「私の関係のある者しか通れないようにしてあるんです。」
「ねえ……。」
「はい。」
「ものは相談なんだけど……、部屋空いてない?」
「空き部屋は二つなんですよね。残りの一部屋は狭くて。」
「レイラとライラは一部屋でいいわよ。そうすれば一部屋空くわよね。」
「はい。」
「そこに私が住んじゃダメかな?」
「……本気ですか?」
「ノアが結婚するときには出ていくからさ。」
「ダメです!永久にいてください!」
こうして、一日で私にはお姉ちゃんと妹たちができました。
「ねえ。木炭なんか砕いて何してるの?」
「木炭って、ぎゅっと圧縮すると透明な石になるんですよ。だから、この欠片に私の髪の毛を入れた石を作るんです。」
「?」
「その石をネックレスの飾りにすれば、かけている人は家の結界を通ることができるんですよ。」
「あっ、私たちが通れるように?」
「そうなんですよ。」
出来上がった石を職人さんのところに盛り込んでネックレスにしてもらい、3人にプレゼントしました。
4人での生活はとても楽しいものでした。
朝、出勤していくアカリさんを見送り、そのあとは3人で買い物に行って二人の服や食材を買ったりします。
お昼ご飯を作ってもらって食べますが、家がギルドに近いためアカリさんも昼休みに帰ってきます。
午後は二人に魔法を教えます。
「じゃあ、3人で手をつなごうか。」
「「はい!」」
「ピーッ!」
私とレイラちゃんのつないだ手の上にヒナちゃんが乗ってきました。
「えっ、ヒナちゃんも一緒にやるの?」
「ピーッ!」
「わかった。じゃ、ヒナちゃんも一緒にやろうね。」
「ピーッ!」
「まず、私から魔力を送るね。」
「「はい!」」「ピーッ!」
「……、これが魔力なんだけどわかるかな?」
「なんだか暖かいものが流れてきました。」「うん。」「ピーッ!」
「それを体中に巡らせるの。こんな感じ。」
「あっ、わかります。」「はいっ。」「ピーッ!」
そもそも、人間には魔力はありません。だから最初の魔力は師事した人から分けてもらうんです。
私は他人と違って、物心ついた時には魔力がありました。
両親に聞いても、誰からもらった魔力なのか分からないそうでした。
世界で最初の魔法師は、魔物から分けてもらったと伝えられていますが、定かではありません。
【あとがき】
これ、書きたかったところなんですよね。もともと人間に魔力がなかったから魔法が使えなかったという部分。
機会があれば、最初の魔法師としてエピソードを書きたいと思っています。
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