第4話

 アカリさんと一緒にギルドに戻った私はカウンターで依頼完了の手続きをしてもらいました。


「ノアさん、どうやってこんなに早く採取依頼ができたんですか?」

「私、レビテーションで飛んでいけますから。」

「私って……、えっ!ノアさん、まさか女性なんですか!」

「……えっ、女……ですけど……そりゃあ、アカリさんみたいに胸ないですけど。」

「だって、冒険者カードに……、ほら、男って。」

「あれっ?ホントですね。気にしていませんでした。書き換えた時に間違えたんでしょうか。」

「いいわ。近いうちに昇級でしょうから、その時に直しましょう。」

「えっ、でもBランクの実績……、今回が初めてですよ。」

「ええ。初めてでもこれって常設依頼ですよ。50回分くらい完了してくれましたからね。昇級実績としては十分ですよ。」

 アカリさんはニコッと微笑んでつづけた。

「それに工房のご主人が言ってたでしょう。質の良い羽だったって。それってプラスアルファ査定よ。」

「Aランクだと、上の依頼も受けられるんですよね。うれしい……。」

「確定ではないですけどね。」


 それから一週間が経ちました。

 ヒナちゃんも順調に育ってくれています。

 私は、今日もせっせと芋虫を捕まえています。

「はい、ヒナちゃん。」

「ピーッ!」

 最近では、羽をパタパタさせてジャンプの練習をしています。


「じゃあ、ギルドに行ってくるからね。」

「ピーッ!」

「えっ、ついてくるの?」

「ピーッ!」

 ヒナちゃんは私の肩に乗って行く気満々のようです。


「こんにちわ。」

「ピッピーッ!」

 ギルドに入ると一斉にみんながこっちを振り向きます。

「なっ、あれは!」「クリスタルバードじゃねえかよ。」「何でクリスタルバードがいるんだ!」

 そんなざわめきが起こります。


「あっ、ノアさん!」

 アカリさんから声がかかる。

「はい。」

「……って、その肩の子は?」

「ああ、この間の依頼の時に親が亡くなってから孵化した子です。私が育ててるんです。」

「クリスタルバードのテイムなんて聞いたことがありませんよ。」

「そうなんですか?」

「でも、従魔登録したほうがいいですね。はい。こちら書類です。」

「あっ、ありがとうございます。」

「気を付けてくださいね。それこそ金貨100枚以上の価値のある子ですからね。」

「ああ、そうなりますね。ご忠告ありがとうございます。」

「それからね、査定の結果が出ましたよ。ちょっと待ってくださいね。

 アカリさんはそういうと事務室の一番奥に移動しなんだか怖そうな人に声をかけています。

 左目のところに大きな傷があり迫力のある人だ。体も大きくて逞しい。


「こちらはギルド長のトールさんです。」

「嬢ちゃんがノアだな。」

「は、はい。よろしくお願いします。」

「まずは金貨120枚だ。ご苦労さんだったな。」

「えっ?」

「クリスタルバードの報奨金よ。」

「こ、こんなに……。」

「ああ。お前のおかげでこの町全体が明るくなったんだ。当然の報酬だよ。」

「あ、ありがとうございます。」

「使わないお金はギルドで預かることもできますからね。」

「そうなんですか。じゃあ、金貨100枚を預けておきます。」

 アカリさんは20枚の金貨を抜き出して私にくれました。

「それからな。お前をAランクに昇格させようと思うんだが、腕を見せてくれるか?」

「はい。いいですよ。」

 ギルド長に連れられて、私たちは中庭へと移動しました。


「じゃあ、あの岩に向かって術を見せてくれるかな。」

 ギルド長の指さす先には、高さ2メートルほどの大岩があります。

「あの……。」

「うん、何だい?」

「壊しちゃってもいいんですか?」

「ブフッ!大丈夫だよ。今まで何十人の攻撃を受けてた岩だけど、壊せるかな?」

「はい。行きます!」


【あとがき】

 こんなに書いてきて、初めての魔法シーンです。お楽しみに!

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