悪役令嬢の憂鬱
悪役令嬢の憂鬱
「お前との婚約は破棄する!」
バカ王子は私を指さしながらのたまわりました。
はあ、私は頭を抱えた。
これで何回目だろう。
こいつの頭を開いてみてみたい。
「忘れたのかしら。
私と結婚しないと、あなたは次の王様にはなれないの」
これは舞踏会場の誰もが知る事実である。
「えっ……」
えっ、って、本当に忘れていたようなんで始末が悪い。
こんなのでも、顔だけはいいので、言い寄ってくる女は数知れず。
その都度コロリとたぶらかされて現在に至る。
「まったく、今度は誰なの?」
「オットー伯爵の次女」
「モットー伯爵でしょ。
ほら、帰るわよ」
王子は記憶を維持できない病気なのだ。
一年前の暑い日、馬車の事故以来になる。
それ以前のことはしっかり覚えているのに、この一年のことは一時間で忘れてしまう。
..元々は聡明な王子だった。
いずれ回復するだろうという淡い期待を込め、それまではフォローできるようにと私に英才教育が受けている。
貴族家の次女・三女にはそんな理屈はどうでもいい。
王子と結婚出来れば王族の一員として迎えられるのだ。
こうして、群がるハエを追い払いながら、私は悪戦苦闘を強いられている。
私は王子を愛している。
いつか病気が治った時には、よくやったなと頭を撫でてほしい。
そのためなら悪役にだってなんにだってなってやろうじゃないの!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます