第20話 おい!何してるんだ!

時間を戻した彼は、程々のスピードで歩き出した。

やはり彼女が攫われる瞬間に走り寄って助けるしかない。


彼の横を、自転車に乗った彼女が追い抜いて行く。

少し先にワゴン車が止まった。

彼はスピードを上げた。


ワゴン車から降りてきた男が彼女に話し掛けるのが見えた。

彼は駆け寄って叫んだ。

「おい!何してるんだ!!」

よし、タイミングはバッチリだ。

彼女は狼狽した瞳をこちらに向けた。

「道を聞かれてたの」

「…」

「助かったよ、ありがとう!」

ヤンキー風の男は礼を言い残して、ワゴン車に乗って去って行った。


「人を見た目で判断して、いきなり叫ぶのは良くないと思うよ?」

「いや、あの…」


え?

俺が悪いの??


■今どき、みんなスマホ持ってるから道を聞く人なんて滅多に居ないよね

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