第12話 ついに成功!

一瞬だけ迷った彼は、やはり時間を少し戻した。

このチャンスを逃す訳にはいかない、と。

正攻法で彼女を射止めようとする気概は無いようだ。


で、屋上。(雑)

やはりファイト一発作戦を狙うしかない!と、彼は扉を少しだけ開けて二人の様子を見た。

いつも通りのタイミングだ。

そっと扉を開けて、男子生徒の後方から近付く。

そして彼女の背中がフェンスに当たり、後ろに倒れていく瞬間に、男子生徒の横をすり抜けて彼女の腕を掴んだ。

ついに成功した!

絶妙なタイミングで彼女を助けられた。


目を見開く彼女の腕を引き、抱き寄せる。

目の前で壊れたフェンスが、彼女が生命の危機に瀕していた事を示していた。


ふふふ、完璧だぜ。

もう彼女は間違いなく俺に惚れたな。

彼は余裕の笑みを見せつつ、腕に抱いた彼女に声を掛けた。

「危なかったな。大丈夫?」

「うん、大丈夫。びっくりした…。ありがとうね」

「あれ?ポッは?」

「え?」

「あ、なんでもない。じゃ、帰ろうか」

(↑さりげなく一緒に帰る流れ、オレ天才)

「あ、私、部活あるから。じゃあね!」

「「えっ…」」

彼女は、彼の腕からヒョイっと逃れ、屋上から出て行った。


えっ?

あれっ?

「ありがとう(ポッ)」は?



■いつから助けられたら惚れると勘違いしていた?

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