第9話 彼女を止めなくても

彼は階段を全力で駆け上がりながら考えた。

彼女を止められないなら、男子生徒が彼女に近付くのを止めれば良いのだ。

息を切らしながらも屋上への扉を開き、彼女に詰め寄る男子生徒の肩を掴んだ。


「おい、ゼェゼェ、おま、ゼェゼェ、まて、ゼェゼェゼェ…」

「なんだよ、テメェ!」


彼は男子生徒に、肩を掴んだ手を振払われて突き飛ばされた。

疲労困憊のモブたる彼には抗う力が残されていなかった。


ガシャン!

彼がフェンスに激突する音が響き渡る。


「「「あっ…」」」



■モブは戦うと負ける

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