あの娘を危機から救い、俺に惚れて… 〜ラノベラブコメの常識と非常識〜

翠色のワンコ

第1話 学園のアイドルが落ちて来た

彼女は容姿に優れる学校のアイドル的な女生徒である。

そして放課後、彼女は屋上に呼び出されていた。

もちろん、用件は男子生徒からの告白である。

断った彼女は詰め寄られて後ずさり、フェンスに背中が当たった。

古く錆びていたフェンスが破損し、彼女は転落した。


良くあるシチュエーションである。

(ねぇよ)



彼は容姿も十人並なら成績も十人並の、学校のモブ的な男子生徒である。

放課後、彼は昇降口から出た所で彼女の悲鳴を聞いた。

悲鳴の元である上方に目をやると、壊れたフェンスの隙間から彼女が落下しようとする所だった。

(受け止めて助けなければ!)


彼は落下地点に向かって駆け出した。



説明しよう!

校舎は4階建て、屋上の高さは15m。

落下開始から地面に落ちるまでの時間は、重力加速度と空気抵抗から概算して約1.7秒。


彼女の悲鳴が彼に聞こえるのに必要な時間は、音速と距離から約0.03秒。

彼が悲鳴を聞いて上を見るまでに0.5秒。

助けようと走り出す判断をするのに、更に0.5秒。


残された時間は約0.7秒弱である。


彼は100mを15秒で走る走力の持ち主である。


驚異的な反応を示し、瞬間的に最高速度に達した彼が5mほど走った所で、彼女は敢え無く地面に激突した…

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