第5話 Ficus_04
それらのお宝が一括管理、保存されているのがここ地下一階。
内部は書物の最適な保存条件ごとにエリア分けされていて、各エリアに呈示された条件に該当する書物は同エリア内にて国際十進分類法で区分けされる。
所蔵されているのは、書籍は無論のこと
『読む』といった物ではないし、
「第一、移動させるのに何人かかったか」とは当時を知る館長の弁である。
難儀なそれ達の行く末は、本館の意義は所蔵する全てを万人に閲覧せしめる事である、と方々の博物館に寄贈され展示物となり、それなりに大事にされたことだろう。
地上階も延床面積は相当広いが、地下は一階のみでそれの何倍もあり、勤続何年であろうと迷う者がでる。 なのでフロアー案内掲示板と、遭難はしないだろうが側に緊急連絡用端末機が備えられてある。
笑い事ではなく私も一度使った。 理由は定時報告をしようにも、時間迄に内線のある地点へ辿りつく自信が無かったからだ。
書物をより良く保存する為に重要な条件が幾つもあり、湿度、温度、埃や虫の駆除、その他諸々あるのだが、その機能は世界一と称される管理システムが自動で確実な保存方法を行使してくれる。
更に、世界一の図書館として構造上で外せない事柄が、災害対策である。 予測可能なレベル迄だが地下フロアーはこれも十分にクリアしていて、上物とは桁違いに堅固な構造となっていてる。
下手なシェルターより安全と云える。
システム破壊防止に電波攻撃も対応済み。
故に、地上通信機器は反応しない。
地下で迷うまで私は、この重要事項を知らされていなかったのだ。 どうやら此処特有の、新人への洗礼らしい。
地下フロアーでの私の仕事は、書物の修繕、保全、区分け、選別、稀にあるのは何処に仕舞われたのか不明になったものを探し出す事。
そうは起きないらしいが、その時には司書二百余名が総出となり探し
私が就任してから二度も
疫病神扱いされるには他にも訳があるが、そんなことは知った事では無いので、そう呼び掛けて来た奴らは無視することにしている。
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