ユニークスキル【森林】 1-2

異世界に突然きて、理解できていないこと多く、鬱蒼とした森が暗くなってきた。安全確保が課題だ。魔法の練習をしていた周囲に獲得したばかりの土魔法で防犯砂利のようなものをできる広範囲に設置できないか検討する。地面に手を置き落ち葉の下へ小石を集めるイメージで魔力を込める。1㎡範囲で成功である。このサイズを周囲に10ケ所なんとか設置成功に気をよくする。樹の上に登る土台は勿論土魔法しか思いつかないので10㎝丸太にY字枝が50㎝間隔で登れる高さまで伸ばすことに成功。


 樹の上になんとかよじ登り、朝まで今晩は起きている決意で初めて今日という一日を振り返る。収穫できたのは1個。この場所に留まり、行動範囲拡げていける。無理に動き回らない、異世界遭難の多分基本。おにぎりは正義だ。このおにぎり一個が与えてくれる安心感をかみしめ、噛り付きながら


「ステータスオーブン!」


【スキル】

土魔法

水魔法

【ユニークスキル】

勇者4分の1

森林

やや鑑定

やや収納

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【森林】?よくワカラナイ。凝視すると説明文がでる。


森だけ最強!: 有効使用範囲、森の中だけ

新種創造: 森の植物に魔力を渡すことで新種植物を創造。

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乾いた笑い声を上げる自分。これはヤバいヤバい・・・。そう、あのおにぎりが樹に実った瞬間、元の世界の通信制暴走大学地球総合学科で学んだ王権の始まりは農業のための治水からだとか・・・。この現状、自分が魔法が使える世界で誰にも出会っていない状態で、人間社会の生産活動の根本を否定しかねないスキル・・・。落ち着こう、思考がちぎれ飛び飛びになりながら、落ち着こうと自分に言い聞かせ


「やや鑑定!おにぎりの樹!」


おにぎりの樹:魔力をおにぎりの樹に渡すことで、おにぎり授与。賞味範囲100m。生育条件、魔力に満ちた森の中のみ。


もういい!!よしっ、何がよくわからんけど、これなら当面思考放棄で食料問題解決!食料輸送不可なら多分大丈夫。次、セキュリティー対策、どう自分をレベル1で守る?もし、スキル【森林】、妄想どおり、いやいやイメージ通り最強運用できるならどうする?何ができそうか?森林同化、森林把握、森林操作ができたら最強か?


 森林と同化するイメージをで周囲を把握しようと目を瞑りイメージしてみる。この瞬間、身体が拡がり、感じる生命の力のうねりのようなものに圧倒され激しくビクっと目を見開く。瞬間的に自分の身体で感じた解放感に感動し身を震わしながら、考えたことは、昨日までの自分は喘息発作、気管支が細くなり酸素不足になっていく身体のだるさ、重さといった症状の大波がいつくるかと常に怯えていたと。もう、元の世界に戻りたくないなと。自分の身体を通り越して大きな生命力?魔力?とつながる感動と喜びをかみしめ、両手を上げガッツポーズ、落ちそうになる自分。


 一晩中、興奮したまま森林同化、森林把握、森林操作、土魔法、水魔法を練習し、朝になる。わかったことは、森林同化は、魔力の補給できる、自分の身体放置になるので使い方、要検討。森林把握は現状200m範囲くらい、森林操作は攻撃、防御と範囲10mぐらい使える。レベル次第で強力になりそう。150mくらい先に池があり、カエルモンスター近くにいると夜の練習で把握。朝飯前に【やや鑑定】をかけにいく。


50mくらいの距離でできそうな気がして小声で「やや鑑定」


ツノガエル:毒(中)あり。食用不可。勝てそう


 きたよ、きたよ微妙な鑑定結果・・・。隠れながら近づき、水魔法、分子の振動を小さくするイメージで一気に凍る手前くらい。動けなくなったツノガエルを水を操作し池から出す。土魔法で30㎝くらいの土の球体の中にツノガエルを入れ、シュレッダーのイメージで土魔法を操りミンチに。密閉しているので安全だと思うことにした。ミンチにするだけしてから失敗に気づく。魔石があるかないか、わからん。反省をしつつ、いざという時のためにモンスタースプラッター毒ボールを4つにし、出し入れ実験ではなく【やや収納】で初めてしまっておく。


 おにぎりの樹の根元に戻り座り込み、土魔法で独り用テントサイズのカマクラを造ってみる。コレジャナイと気づく。頭の中にテレビで見たプレリードッグの巣穴が浮かぶ。そうだよ、弱小哺乳類の生存戦略しかないわ。樹の根元から少し距離を置き、雨対策を考えながら小さな巣穴を造り、上半身だけ地面から出してご満悦な自分。ふと、これゾンビみたいに見えるなあと。フラグ?フラグだめ!と自分に突っ込んだ瞬間!


 「魔族はっけーん」

 「魔族じゃね?」


という声とともね頭上からシュタッ、シュタタタタと耳の尖った若者男女6人軽やかに降りてくる。防犯砂利がまったく役に立たなかったことに少し焦る自分。


 「弱いぞこいつ」

 「この森が騒がしかったの、こいつで決定。連行しよ」

 「人間だぞ、魔族の血が少し混じってるだけだそ」

 

 えっ、俺、魔族の血が入ってるの?連行?抵抗するか、様子をみるか悩む。


 「とにかく縛って連れて帰ろう、人間でも魔族でもどっちでもいいよ」

 「意識は奪っとかなきゃ」

 「村から離れての初遠征で大手柄じゃん」


 とにかくワイワイと囲まれていて話を聞こうという姿勢は感じられない。一人だけ後ろにいてオドオドして発言しないのがいる。自分が安全にならないとで昨晩【森林:新種創造】で創り周辺に播種しておいた快眠草を【森林操作】で発芽させ、エルフのように見える若者6人眠っていただく。成功である。


「やや鑑定!」 


ハイエルフ:絶滅危惧二類。絶滅の危険が増大しており、[絶滅の危機に瀕している種]へ移行するおそれのある種 

     年齢 100歳

     状態 快眠6名


完璧すぎる鑑定にまず驚く・・・。自分の元の世界での仕事の記憶が脳内をフラッシュバックする。


 両親の無理心中により、叔父に無理やり就職させられ、通信制暴走高校普通科、通信制暴走大学地球総合学科卒業までの7年間、ダム建設可否を判断するための環境調査を請け負う会社にいた。仕事内容は、ダム建設前提での施工計画のための測量、地盤調査であり、日本中に一年間ほぼ現場(山中)にいる会社。いろいろ問題があり、下請けの下請けの、とかげの尻尾にいるということは、何年もかけて、全ての雑用、書類仕事を任せられるようになって理解した。絶滅危惧種という生き物に対する罪悪感を後から理解し、忸怩たる思いをじわじわと味わっていた社畜な自分を再認識した。



次に一人づつ「やや鑑定」をしていき、最後にオドオド君の結果を見て、この何年も声を荒げて激怒した記憶のない自分がクワッと目を見開きキレ叫ぶ。


「お前~転生者!」「はぁ~称号 スローライファー?何それ?」 「絶滅危惧二類の自覚ねぇだろ、こいつぅ~!」

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