第17話救済制度とは……
接種から2週間。顔はいまだ動かず。
薬のおかげで口角は多少あがり、まばたきはスムーズにはなった。
それでも正常ではない。
目に見えにくい部位の麻痺のせいで、人からは理解されにくく説明しても半信半疑。
それは病院も一緒。接種を請け負った病院は相変わらず我介さず。1ヶ月の様子見指示からなにもない。認める気はなさそう。
イライラするからお茶を飲んで落ち着こうとすると口の端から漏れる。うまく飲み込めず吹き出す。気管に入って咽せる。ソレがまたイラつく負の連鎖。
政府は相変わらず接種を促す。
リスクはニオわせるが、感染しないためには重要だと繰り返す。
その結果、こちらは苦労しているのに。
エッセンシャルワーカーに拒否権はなく、救いもない。休みもない。
現場は4欠。療養休暇も取れやしない。
祝日も有休も未消化。休日出勤の職員もいる。
早番+遅番もほぼ毎日。少ない人数で強行軍。なのに手当も補償もない。
医療従事者ばかり取り上げられて、事務や介護士にはなにもなし。
まったく、誰が身辺の世話やワクチン接種の予約受付や診察の受付してると思っているのやら。
ワクチン接種で麻痺したのに、病院費用は自己負担。すでに1万以上使った。保証はない。
ワクチン接種での影響で救済制度を調べた。
市町村に問い合わせと書かれていたから役所に行ったら、問い合わせ先の電話番号の書かれた紙を渡された。
役所には窓口がないらしい。
問い合わせろと書いてるのに……。
電話したら保健センターに繋がった。
保健所とは違うらしい。紛らわしい。
保健センターに救済制度の紙があるらしい。
治療に関する書類が必要で、発生した費用を請求できるかは書類を送って審査を受けて、通ったら支給される……が、半年から1年後になるらしい。
診断書とかは自己負担。
接種を請け負った病院ではなく、診察と治療に携わった病院とやりとりすることになりそう。
はぁ……ワクチン打っただけで、なんでこんなに苦労しないといけないんだ。
1週間ステロイド飲みきったが、いきなりは切れないから減薬。
リハビリのために病院紹介されるし、電極を顔につけて電気を流す検査をされて痛かったし、夜勤明けや休日は通院で終わる。
薬を飲まなきゃいけないから寝たきりもできない。
うまく食べれないから外食できない。
食べ方がどうしても汚くなるし、音を立てるから人目を気にして外にでるのがイヤになる。食べる、飲む行為自体が苦痛。
同僚は心配してくれるが、無理するなと言われても休めないので顔半分だけ笑って流してる。
音が痛い。キンキンガチャガチャした高い音は暴力。音ゲーが趣味だったのに。
アイコンがチカチカする。目が痛い。
乾く。涙がでる。視界が滲む。左半分ぼやける。見えない。から、塞ぐ。ただでさえ酷い見た目がさらに酷くなった。
ツライ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます