第49話邑楽町 長柄神社

49 邑楽町 長柄神社の枝垂れ桜


  平成二十一年四月七日


行田の満願寺を後にして邑楽町の長柄神社に向かう。


行田からは武蔵大橋を渡って千代田町へ向かえばすぐに邑楽町である。


遠く感じていたが意外と近い。


しかも長柄神社は私の持っている関東道路地図に載っている。


有名なのだろう、場所はすぐにわかった。


駐車場に車を入れ周りを眺めるが何か暗い森に入ってゆく感じがする。


短い参道の両脇には染井吉野が咲いていた。


直ぐに本堂が見える。


その右手に枝垂れ桜は咲いていた。


他に桜を見に来る人はいないのか誰もいない。


花が終わり加減だからかしら。


樹齢四百年とあるが育つのに何の邪魔も入らなかったのかのびやかに


枝を伸ばしている。


樹高も十五mあるので結構な高さだ。


一枚スケッチする。


桜の樹の後ろは湿地帯なのか沼なのか、水は見えないが何か邪気を感じる。


誰かその沼で亡くなった人でもいるのだろうか。


他に誰もいない事もあって、一人で居る事が怖くなったので帰ることにする。


湿地帯に引き込まれてしまいそうな怖さがあった。


こういう時の為に愛犬を連れて来ているのだが、同じく何かを感じているのか


私の目を見て帰ろうという。


いつもならスケッチが終わってもじっくりと、桜を眺めるのだが


長居したくない。


これを書くにあたって本当にあそこに沼か湿地帯があったのか


インターネットで調べてみるがそれらしき物はない。


草の生えている乾いた地面が写っている。


気のせいだったのだろうか。


今でもスケッチした時の様子を思い出すと桜の樹の後ろには


葦のような背の高い草が生えていて湿地帯のような感じであった事を


思い出す。


どうしてだろう。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る