第34話 青梅 梅岩寺の枝垂れ桜 その二

34青梅 梅岩寺の枝垂れ桜 その二


   平成十年四月五日に描いたスケッチが見つかった。


平成九年に初めて梅岩寺を訪れた私はすっかり気に入ってしまった。


電車で来ても駅から数分なので気楽に来られるし車で来ても


道は良く知った道なので迷う事もない。


ただ、駐車場はあるが ちょっとした坂になった所を線路を


渡らなければならないという事と場所が枝垂れ桜の奥に


あるので人が多くて行きにくい。


近くの駐車場に入れて歩くことにしている。


まずは山道にかかる所、去年と同じ場所から描くことにした。


去年はスケッチの紙を横に二枚続けて描いたが、今年は


縦に二枚にしてその高さを表現してみようかと思った。


描き終わってから、ふと入口の枝垂れ桜も描きたくなった。


この樹は樹齢百五十年で幹回り三m、紅色の花を咲かせるとある。


本来は真っ先にこちらの樹をスケッチするべきなのだろうが


枝が地面近くまで枝垂れているために写真を撮る人や桜の花を


見る人が多く、なかなか幹が見えてこない。


人の波と云いうものは待って居れば必ず引いてゆく時がある。


じっくりと合間を待つことにした。


まずは見えている部分から描き出し、幹の姿を決める。


スケッチ用紙一枚では足りず、もう一枚横に描くが


それでも足りず上の部分はもう一枚紙を足す。


この方法はたぶんNHKの番組か何かで中島千波先生が


紙を足しながら描いて居たものを真似た。


それまでの私は一枚の紙の中に描きたいものをうまく収めるものだと


思っていたので、はみ出したら紙を足せばよいという考えは


目からうろこだった。


去年描いた長興山の枝垂れ桜も紙を足す方法を実行していたら


もっとうまく大きさを表現出来たのかもしれない。

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