第8話 坂戸の慈眼寺の枝垂れ桜 その一
坂戸 慈眼寺の枝垂れ桜 その一
平成十一年四月三日
地域の新聞で坂戸東団地近くの慈眼寺に枝垂桜があることを知った。
白黒の写真が載っていたが大きそうである。
早速、休憩時間を利用して出かけてみる。
周りが里山という感じの場所に慈眼寺はあった。
大きな桜の樹が道路の向こうから見えるのですぐにわかった。
駐車場はないが畑と民家が混在しているところで交通量も少ないので路上駐車する。
前景に麦のような青々とした作物の生えている畑があり
、中景に壊れかけた門と主役の桜、後景はお寺の本堂の屋根・・・
と絵にするにはぴったりの姿をしている。
早速、書き始めるがどうもいつものように筆が進まない。
なんとなく寂しい感じがする。
枝垂桜そのものは満開であり、遠くからも良く眺められ写真を撮るのにも
絵を描くのにも何の障害も無く絶景のポイントである。
おまけに花見客も少ない。
なのに、なんだか哀れを誘う花である。
その樹の下に江戸時代のお女中が立っているように見える。
お侍さんに捨てられ傷心のお女中が・・・
何か理由がありなのかな。
この樹が二人の待ち合わせ場所であっただろう。
何かの事情でお侍さんは来られなくなり、その事情を知らないお女中は
あの樹の根元でいつまでも待っている。
そんなストーリーが浮かんで来る。
悲哀の桜なのかな・・・なんて勝手に物語を作ってしまった。
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