墓参り

 私は今日は墓参りに来ている。

 なぜかというと今日はキロク屋の先代で私を拾って育ててくれたコンゴウさんの命日だからである。

 本当の家族ではないが、両親から酷いことを沢山されて逃げた死にかけの私をを助けてくれた命の恩人なのだ。


「·····久しぶり、守りたかった物今はちゃんと守れてるか知らないけど私なりに頑張ってるよ」


 私は墓の前でしゃがんで話している。


「あ、でも商売にしちゃったから一個約束破ってる·····ごめんね」


 そう私は破ってしまった。

 商売にしちゃいけないのにコンゴウさんの言いつけを破ってしまった。

 あの頃の私は店に来たスーツを来た人が「収益を得れてないのなら店を畳め」と言われて何とか守らないとと思って約束を破った。


「·····私には、他の守り方分かんなかったよ」


 私は泣きそうになるのを我慢しながら言う。


「·····あの時私が守ってやれたらよかったのにな·····すまない」


 聞き覚えのある声に私は驚いて後ろを振り向いた。


「こんにちはスミレさん、ありがとうね毎年来てくれて」

「礼には及ばないよ····私もコンゴウの爺さんには世話になってるからな」

「そっか·····もっと私が強かったらなぁ·········」

「後悔なんてしても今は変わらないぞキロク屋·····それが人生ってもんだ」

「·····慰めてくれるんだ、スミレさん、後悔しても意味無いって言うかと思ってた」

「私がそんな冷たい事言う人に見えるか?」


 私の頭を鷲掴みしながら言う。


「ア、スミマセンゼンゼンミエナイデス」

「そうかそうか」


 満足そうにスミレさんは頷く。


「じゃあ私はそろそろ帰らせてもらおう·····今日の夕飯の当番は私だからな」

「へぇースミレさん料理するんだ」

「ショウが来てからな·····インスタント類全てを没収された」


 私は没収されるスミレさんを想像してクスリと笑った。


「私はもうちょっとしてから帰ろうかな」

「そうかではまた」

「またね」


 スミレさんに別れを告げて私は墓に向き直した。


「スミレさんがいい人でよかったよ今も結構仲良くしてもらってるし」


 沢山話をした。

 コンゴウさんがいなくなってからのキロク屋の事色んなお客さんがいること。

 どんな思いでその人が記録を売っていたのか。


「もうこんな時間、コンゴウさんまた来るね·····私頑張るから私なりにキロク屋を守るから見ててね」


 私はコンゴウさんの好きなビールを置いて店に帰った。










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