1――島津中務大輔武尚
「放てぇ!」
未明の林から音もたてずに突如出現した島津兵の放った鉄砲に、合衆国軍は混乱する。
戦場となったのは、合衆国の呼び名で言う、ピッツバーグの郊外の森林地帯であった。
「あいが合衆国とやらん軍勢か。あまり練度が高かごつは見えんが、鉄砲は侮れんな」
赤い具足に身を包んだ若武者は、遠眼鏡で敵の姿を見ながらそんなことをつぶやく。
突然の
だが、指揮官の一喝がそれを収めた。
民族の違いこそあれ、大した偉丈夫であることは間違ないと思われた。
若武者の表情は、童子のように屈託のない笑いとなる。
人たらしと呼ばれる、値千金の笑顔であった。
容姿は少なくとも美丈夫と言われるにはいささか足りない。
どちらかと言えば愛嬌の方が目立つ男であった。
体躯はといえば少しばかり背が低く、酒樽を思わせる形であったが、肥えているわけではない。筋肉に鎧われているのだ。
それが証拠に、動きそのものは俊敏そのものだ。
「ほう、よか将がおるのう。首を獲るに値する将じゃ。
胸甲姿で快活に笑った島津の若武者は、馬上で朱槍を構える。
腰に二丁の
「征くぞ。島津
彼の背後に続くは島津
言うまでも無く、強力な騎兵軍団であった。
#100文字の架空戦記
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